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2022 年度 実施状況報告書

新規アルギニン水酸化酵素の電子伝達系の同定と抗結核薬の大量生産システムの確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K06629
研究機関広島大学

研究代表者

熊谷 孝則  広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (70274058)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアルギニン水酸化酵素 / 電子伝達系 / 抗癌剤 / ヒドロキシウレア / 抗結核薬 / D-サイクロセリン / 異種生産
研究実績の概要

本年度は, 昨年度構築した発現系を利用して, フェレドキシン(FDX)およびFDX還元酵素(FDR)を精製し, D-サイクロセリン(D-CS)生合成に関与する新規アルギニン水酸化酵素DcsAの電子伝達系を明らかにするとともに, 抗癌剤ヒドロキシウレア(HU)の大腸菌を宿主とした生産系を構築することを目標として研究を実施した。
まず, 昨年度構築した発現系を利用して, 各FDX(7種)およびFDR(2種)の発現性をSDS-PAGEにより調査した。その結果, 3種のFDX(Sla_0278, Sla_2106, Sla_5080), および, 2種のFDR(Sla_0456, Sla_5644)が可溶性タンパク質として発現することが明らかになった。そこで, クロマトグラフィーの手法を用いることにより, これらタンパク質の精製を行った。その結果, 全てについて, ほぼ単一タンパク質として精製することに成功した。続いて, 精製したタンパク質について, 吸収スペクトル解析(260~600 nm)を実施した。その結果, 3種のFDXのうち, Sla_0278およびSla_5080については, 鉄/硫黄タンパク質に特徴的な吸収スペクトルが観測されたが, Sla_2106については観測されなかった。一方, 2種のFDRについては, フラビンタンパク質に特徴的な吸収スペクトルは観測されなかった。
以上本年度においては, FDXおよびFDRをほぼ単一タンパク質として取得したが, FDRについては活性型と考えられるタンパク質を取得できなかった。そのため, 当初の研究計画では目標を達成することが困難になったので, 次年度は方針を変更して研究を継続する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究計画においては, 本年度終了時までに, D-CS生合成に関与するアルギニン水酸化酵素DcsAの電子伝達系を同定し, 同定したタンパク質をコードする遺伝子を用いて, 大腸菌を宿主とした抗癌剤HUの生産系の構築を完了する予定であった。しかしながら, 電子伝達系を構成するタンパク質(FDXおよびFDR)の精製に手間取ったため, 「研究実績の概要」で記載した通り, 本年度においては, これらタンパク質をほぼ単一タンパク質として取得するまでにとどまった。しかも, FDRについては活性型のタンパク質ではないと考えられ, 当初の研究計画では目標を達成することが困難になった。以上のことから, 明らかに「遅れている」と考えられる。次年度は方針を変更し, 別の電子伝達系を用いて「DcsAの活性測定実験」および「大腸菌を宿主としたHU生産系の構築実験」を速やかに進めたいと考えている。

今後の研究の推進方策

「現在までの進捗状況」で記載した通り, 研究の進捗は遅れており, 当初の研究計画では目標を達成することが困難になった。したがって, 次年度は方針を変更して研究を実施する。具体的には, 微生物の電子伝達系として汎用されているPseudomonas putida由来のputidaredoxin(PDX)およびPDX reductase(PDR)を大腸菌の系を用いて発現させ, 単一タンパク質として取得した後, それらがDcsAの電子伝達系として機能するか検討する。続いて, それらタンパク質をコードする遺伝子を利用し, 大腸菌を宿主としたHU生産系の構築を試みる。PDXおよびPDRがDcsAの電子伝達系として機能しない場合には, これまでに報告がなされている放線菌由来の電子伝達系を検討する。進捗が遅れていることから, 研究の大幅なスピードアップが必要であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

理由:消耗品の一部で購入しなかった物品があり, それらを購入するための費用が残金として生じた。
使用計画:消耗品費として計上し, 速やかに支出する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Whole-genome and plasmid comparative analysis of Campylobacter jejuni from human patients Toyama, Japan, from 2015 to 20192023

    • 著者名/発表者名
      Morita, D., Arai, H., Isobe, J., Maenishi, E., Kumagai, T., Maruyama, F., and Kuroda, T.
    • 雑誌名

      Microbiol. Spectr.

      巻: 11 ページ: e02659-22

    • DOI

      10.1128/spectrum.02659-22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 完全長配列を用いたEnterotoxigenic Escherichia coliの比較ゲノム解析と新規病原プラスミドの発見2023

    • 著者名/発表者名
      森田 大地, 武田 明佳, 山本 美和子, 神田 美幸, 山本 佑樹, 熊谷 孝則, 田原 栄俊, 丸山 史人, 黒田 照夫
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
  • [学会発表] Actinoplanes属放線菌NBRC14279株における二次代謝産物生合成遺伝子クラスターの解析2023

    • 著者名/発表者名
      近藤 永遠, 山腰 祐也, 森田 大地, 黒田 照夫, 熊谷 孝則
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] Serratia marcescensにおける2成分制御系SarRSを介した消毒薬耐性機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      谷重 萌, 安岡 里帆, 近藤 有馬, 百留 孝士郎, 森田 大地, 小川 和加野, 熊谷 孝則, 黒田 照夫
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] Actinoplanes属放線菌NBRC14279株のゲノム解読2022

    • 著者名/発表者名
      近藤 永遠, 森田 大地, 黒田 照夫, 熊谷 孝則
    • 学会等名
      第34回微生物シンポジウム
  • [学会発表] ゲノム配列が導いたStreptomyces属放線菌NBRC14001株によるlucensomycin生産の発見2022

    • 著者名/発表者名
      西村 祥, 中村 和音, 山本 美也子, 森田 大地, 黒田 照夫, 熊谷 孝則
    • 学会等名
      2022年度日本放線菌学会大会
  • [学会発表] 緑膿菌のフルオロキノロン系抗菌薬耐性機構の偏好性及びMexXYの発現調節に関与する遺伝子変異の解析2022

    • 著者名/発表者名
      和木坂 樹, 鳥丸 顕正, 森田 大地, 熊谷 孝則, 丸山 史人, 黒田 照夫
    • 学会等名
      第75回日本細菌学会中四国支部総会
  • [学会発表] Streptomyces属放線菌NBRC14001株はlucensomycinを生産する-ゲノムマイニングによる発見-2022

    • 著者名/発表者名
      西村 祥, 中村 和音, 山本 美也子, 森田 大地, 黒田 照夫, 熊谷 孝則
    • 学会等名
      第74回日本生物工学会大会
  • [学会発表] ゲノム解析が顕在化したStreptomyces属放線菌NBRC14001株によるlucensomycin生産2022

    • 著者名/発表者名
      熊谷 孝則, 西村 祥, 中村 和音, 山本 美也子, 森田 大地, 黒田 照夫
    • 学会等名
      第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会
  • [学会発表] ヒト患者由来Campylobacter jejuniの比較ゲノム解析とプラスミドの多様性2022

    • 著者名/発表者名
      森田 大地, 荒井 大樹, 磯部 順子, 前西 絵美, 熊谷 孝則, 丸山 史人, 黒田照夫
    • 学会等名
      第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会
  • [学会発表] Genetic diversity of Enterotoxigenic Escherichia coli (ETEC) and Campylobacter in India and Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Morita, D., Isobe, J., Maenshi, E., Kumagai, T., Yamamoto, Y., Kanda, M., Kamikawa, Y., Tahara, H., Kitahara, K., Miyoshi, S., Choudhury, G., Mukhopadhyay, A. K., Dutta, S., Maruyama, F., Kuroda, T.
    • 学会等名
      16th Asian Conference of Diarrhoeal Disease and Nutrition
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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