研究課題/領域番号 |
21K06646
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
中村 光浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (30433204)
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研究分担者 |
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10295545)
位田 雅俊 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (70512424)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ビッグデータ / 有害事象 / 副作用 / 遺伝子-タンパク質相互作用 / エンリッチメント解析 / 薬剤惹起性うつ病 / drug-induced depression |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、副作用ビッグデータを用いて、医薬品により引き起こされるうつ病の原因薬剤とそのリスクを抑制する治療薬を見出すことである。令和3年度は、米国の副作用ビッグデータと生命科学ビッグデータを融合させたデータ駆動型解析を行い、医薬品と関連する抑うつ関連遺伝子及び蛋白質を探索した。リアルワールドデータから、モンテルカストと薬剤惹起性うつ病の関連性を示唆する知見を得、さらに関連するいくつかの候補遺伝子を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自発有害事象データベース(SRS)の米国食品医薬品局 (FDA)の FDA Adverse Event Reporting System (FAERS) を用いて、モンテルカストが薬剤惹起性うつ病 (DID: drug-induced depression) との関連性を示唆する結果を得た。リアルワールドデータのSRSにおけるDID発症リスクと公開遺伝子情報データベースから薬剤と相互作用のある遺伝子、蛋白質を探索した。モンテルカストと直接相互作用を起こす遺伝子を、DGIdb (drug-gene interaction database)、DSigDB (drug signatures database)、STITCHなどのデータベースからseedとして選択した。iRefIndexを用いてseed遺伝子と間接的に相互作用する遺伝子をさらにライブラリー化した。Cytoscapeを用いて molecular complex detection (MCODE) plug-inによりクラスター化した。各クラスターのネットワーク情報をKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG) enrichment analysisを用いて生体機能に変換し 、DisGeNET (R package: enrichDGN)を用いて疾患の関連スコアとして評価した。その結果、モンテルカストのDID関連遺伝子の候補としてHCRT (ヒポクレチン(オレキシン)神経ペプチド前駆体)、HTR2A (セロトニンレセプター)、KALRN (ヒトkalirin, RhoGEF キナーゼ) を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、薬剤惹起性うつ病 (DID: drug-induced depression) 発症及び併用薬によるDIDリスク抑制機序を検討する。データ駆動型解析から得られた仮説をin vivoの遺伝子発現解析で検証することに より、現在のDID治療薬の選択にエビデンスを与えるとともに新たなDID治療薬の発見を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文原稿校正、解析用PC用メモリ増設の予定が若干遅れ次年度繰越しとなった。令和4年度は、英語論文作成および掲載費用、インフォマティクス解析用のメモリ購入、in vivo研究用の試薬購入を行う。
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