研究課題/領域番号 |
21K06648
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
町田 麻依子 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (50347788)
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研究分担者 |
山 佳織 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60780559)
今田 愛也 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (10557945)
佐藤 秀紀 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (80711829)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
がんの治療の質向上の為に役立つバイオマーカーが求められている。 本研究では、がん化、がん病勢悪化をもたらす免疫、炎症に関与する細胞性免疫に関与するサイトカインや転写因子に加えて、マイクロRNAなどを含めた指標の有用性について、①がん発症前の慢性疾患経過観察中の患者を対象とした前向き臨床研究、および②がん化学療法を行う患者を対象とした前向き臨床研究を実施中である。 ①に関しては、新規臨床研究を新たに立ち上げ、倫理審査承認を経て、研究協力医療施設よりがん発症前の80名のスポット採血を行い、患者血液試料およびカルテ情報を入手した。患者血液試料としては、血漿に加えて、末梢血単核球由来のtotal RNA抽出用安定化剤入り全血試料を得て、標的マイクロRNAsおよびmRNAの解析測定用として、ディープフリーザーに保管を完了した。 ②に関しては、倫理審査承認済みのパイロット的臨床研究を継続し、免疫チェックポイント阻害薬による肺がん化学療法を行う患者16名の複数回に及ぶ経過に沿った採血を行い、患者血液試料を入手した。免疫関連有害事象(irAE)および原疾患の悪化から治療終了に至った例、治療が奏効し年度を跨いで継続例を扱った。2021年度に入手済の血液試料を用いて、血漿中のサイトカイン、ケモカイン、および末梢血単核球由来のエフェクターT細胞および制御性T細胞(Treg)のマスター転写因子などのmRNAの測定を先行して行なった。 炎症性のTh1、Th17産生サイトカイン群と、調節上位のサイトカインIL-23、IL-27の同時測定、Treg由来の抗炎症性サイトカインIL-10、転写因子Foxp3、LAG3、Egr2のmRNAの同時測定が、irAEの予測に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①がん発症前の慢性疾患経過観察中の患者を対象とした前向き臨床研究に関しては、エントリー期間内の早期のうちに(2021年度内)、目的症例の試料の保管を完了した。 ②がん化学療法を行う患者を対象とした前向き臨床研究に関しては、エントリー期間中であり、治療の経過に従った試料の入手と、随時の試料の測定および解析を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
①がん発症前の慢性疾患経過観察中の患者を対象とした前向き臨床研究に関しては、目的症例の試料の保管を完了しており、順次測定を開始する。 ②がん化学療法を行う患者を対象とした前向き臨床研究に関しては、2022年度も引き続きエントリー期間中であり、順次試料の保管と測定を実施する。 経費削減の観点から、①②のマイクロRNAの測定に関しては、2022年度以降に効率的にまとめて測定するが、②に関しては、Tregの調節の上位に寄与するIL-23への影響が報告されているマイクロRNAsの測定について、全体のマイクロRNA測定を先行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
①がん発症前の慢性疾患経過観察中の患者を対象とした前向き臨床研究に関しては、得られた試料の測定を2022年度に繰り越していることによる。 ②がん化学療法を行う患者を対象とした前向き臨床研究については、治療の進捗に沿った試料の入手を行なっており、年度を跨いだ症例がエントリーしている状況があることによる。
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