研究課題/領域番号 |
21K06669
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
香西 祥子 香川大学, 医学部, 協力研究員 (30815113)
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研究分担者 |
加藤 育子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00613720)
小谷野 耕佑 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20437685)
岡田 仁 香川大学, 医学部, 協力研究員 (30253272)
有岡 誠 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (90851882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 早産児 / デキサメタゾン / 吸入療法 / 測定方法 |
研究実績の概要 |
早産児の慢性肺疾患(chronic lung disease:CLD)は慢性疾患であり、新規発症者数は年間約2500例と推測される。治療法としてはステロイドが投与されるが、全身投与による長期的な影響の増加が指摘されている。一方でステロイド吸入療法は全身投与に比べて全身への影響が低減するため、副作用、特に神経学的予後への影響を減少させる可能性が示唆されている。しかし、早産児において吸入ステロイド薬がどれほど血中へ移行しているかの報告は少なく、本当に吸入ステロイド療法の副作用リスクは低いのか、どの在胎週数、日齢、修正週数においても同様に副作用リスクが低いのかは不明である。ステロイド吸入療法では香川大学医学部付属病院での使用経験から本研究ではデキサメタゾンを使用する。デキサメタゾンの使用量は少量であるため、吸入薬としてどれほどの薬剤量が児へ投与されることになるのか、そのうちどれくらいの量が血中へ移行するのかを検討するためデキサメタゾン測定方法の確立を目指している。香川大学医学部附属病院小児科で行われているデキサメタゾン吸入療法を基に児の呼吸器の簡易模型を作成し、デキサメタゾンをどのような溶媒に溶解すると効率よく肺に届けられるかについて検討した。デキサメタゾンを溶解するために使用する溶媒は種類と濃度を変えてサンプルを作成した。回収したデキサメタゾンの抽出は固相抽出を用いた。デキサメタゾンの測定は液体クロマトグラフィーによる測定方法を試み、デキサメタゾンを回収できていることを確認した。実際に早産児への吸入に使用した吸入機器を使用しデキサメタゾンを回収し測定をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
香川大学医学部附属病院小児科で早産児に使用したデキサメタゾン吸入療法の使用後の機器の一部を用いてデキサメタゾンを回収し、液体クロマトグラフィータンデム分析質量装置(LC-MS/MS)によって測定した。実際に新生児に使用した機器からデキサメタゾンを回収し測定方法が可能であったが、同様の条件での測定を繰り返すことが実質的に不可能であったため、まとめた報告は不可能であった。そのためやや遅れていると判断し、1年間の延長とした。
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今後の研究の推進方策 |
デキサメタゾンの使用量は少量であり、吸入するために気化させた蒸気内にも含まれている可能性も考えられる。今後デキサメタゾン吸入療法で使用され、機器内の残薬の回収方法について検討し、どのような設定であれば吸入薬として効率よくデキサメタゾンを児の肺へ投与出来るかを検討する。また、デキサメタゾン吸入療法を行っている児においてデキサメタゾン血中濃度の測定の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は測定機器の調整が主となり、実際の臨床に準じた測定まで進むことができたものの、同一条件での測定を繰り返すことはできなかった。また、デキサメタゾンがコロナ禍の影響を受け研究用途として入手困難であり、実験を繰り返すことができなかった。 そのため、学会発表するまでの報告には至らず、研究を1年間延長することとした。
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