研究課題/領域番号 |
21K06671
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 大介 九州大学, 薬学研究院, 講師 (00403973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新規抗てんかん薬 / 治療薬物モニタリング / TDM / 母集団薬物動態解析 / ラコサミド |
研究実績の概要 |
本研究では、新規抗てんかん薬のTDMの有用性を明らかにし至適投与法を構築するために、①新規抗てんかん薬のTDMに用いることができる測定法を確立すること、②新規抗てんかん薬を含む複数の抗てんかん薬を併用している患者について、その薬物相互作用を記述するPopulation Pharmacokinetics(PPK)モデルを構築し薬物間相互作用の影響を明らかにすること、③血中薬物濃度と有効性および副作用発現との関連について検討し血中薬物濃度モニタリングの意義について明らかにすることを目的としている。 本年度は、研究実施計画に基づき、ペランパネル、ラコサミド、ガバペンチン、トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタム、ルフィナミドなどの新規抗てんかん薬の血中薬物濃度を簡便かつ短時間で測定可能な測定法の開発を開始した。超高速液体クロマトグラフィー・質量分析装置(UPLC-MS)を用いて、日常診療で得られる血中濃度が測定可能な測定条件を検討した。 また、新規抗てんかん薬のうち、ラコサミドのTDMが実施された98例を対象とし、電子カルテより患者背景(年齢、性別、身長、体重、肝機能、腎機能)および薬物投与(投与量、併用薬剤)に関するデータをレトロスペクティブに抽出した。PPK解析により、ラコサミドの血中濃度推移を適切に表現する薬物動態モデルを構築し、シトクロムP450誘導作用を有する抗てんかん薬の併用は、ラコサミドの血中濃度を低下させる要因となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規抗てんかん薬の測定法の開発において、一部の薬剤で良好な検量線が得られなかったことから、測定条件の検討に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
UPLC-MSを用いた測定条件の検討を継続して行い、測定法のバリデーションを行う。また、ラコサミドをはじめとする新規抗てんかん薬服用患者のTDMデータを集積し、母集団薬物動態解析による新規抗てんかん薬と併用薬との薬物相互作用の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
UPLC-MSを用いた測定条件の検討に時間を要しており測定法のバリデーションが開始できておらず、その分が未使用となっている。繰越金は、今後の検討に必要な消耗品等の購入に使用する。
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