研究課題/領域番号 |
21K06674
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
工藤 賢三 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (30275531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ベバシズマブ / エンドセリン / ヒト腎足細胞 |
研究実績の概要 |
当該研究では、臨床研究及び基礎研究の両面で研究を行い、血管新生阻害薬によるたん白尿に着目し、副作用の回避・軽減方法の検討を行う。①臨床研究においては、BEV投与によって誘発されるたん白尿に、実臨床にて支持療法として使用されるARBもしくはCCBのどちらが有効であるかを検証し明らかとする。②血管新生阻害薬によるたん白尿は、いかなる機序で発生するのか詳細な機序は明らかになっていないため、基礎研究においては、これまでの申請者らの研究を発展させ、VEGF阻害薬によるたん白尿の発現機序の解明を行う。 当該年度であるが、①ベバシズマブおよびラムシルマブ治療を受けた患者を対象に血圧管理、蛋白尿を後方視的に調査した。血圧管理については血圧平均値から正常血圧群、Grade1高血圧群、≧Grade2高血圧群の3群に分け、≧Grade2の蛋白尿発生を比較した。血圧管理に応じた3群間と ≧Grade2の蛋白尿発生に関連性が示され、正常血圧群で蛋白尿発生が最も低いことが明らかとなった。一方、降圧薬の有無や種類(レニン・アンギオテンシン系阻害薬、カルシウムチャネル受容体拮抗薬)による差は認められなかった。②血漿中エンドセリンと蛋白尿の関連性を調べるために、ベバシズマブ治療を受けた結腸・直腸がん患者を対象に、6か月間の血漿中エンドセリン、蛋白尿を評価した。血漿中エンドセリンはELISA法を用いて測定した。3か月後および6か月後の血漿中エンドセリンは、治療前に比べて有意に増加することが明らかとなった。 ③基礎研究においては、昨年度に引き続きヒト腎足細胞培養系の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該研究にエフォートを十分に充てることができず、ヒト腎足細胞培養系での基礎研究が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、臨床研究及び基礎研究の両面で研究を行い、血管新生阻害薬によるたん白尿に着目し、副作用の回避・軽減方法の検討を行う。基礎研究においては、ヒト腎糸足細胞培養系を用いてエンドセリン産生に対するVEGF-A の細胞内シグナル伝達経路の解明を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床研究において、エンドセリンの測定キットを講座研究費より支出したこと、また、基礎研究が進まなかったことが主な理由である。今年度は、基礎研究を中心に行うことを計画し、計上していた経費を適正に使用できる見込みである。
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