これまでの排出トランスポーター阻害剤を用いた基質の細胞内蓄積の亢進に関する検討では、有効性と安全性の点から実際に利用されるに至っておらず、同時に複数の排出トランスポーター機能を調節する本アプローチの検討は従来法の課題を克服することが期待される。本研究より得られた成果は、抗がん薬の治療障壁の克服につながる可能性がある。抗がん薬ががん細胞に到達する障壁となるタンパク質の機能を抑える新たな手法に関する基礎的知見となり得ると考えられ、さらなる発展が期待される領域である。さらに、従来法との組み合わせるなどの工夫をするとともに、安全性評価を行うことで、抗がん薬デリバリー効率の改善法として期待される。
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