研究課題/領域番号 |
21K06702
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
伊藤 康一 徳島文理大学, 薬学部, 特別研究員 (30291149)
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研究分担者 |
冨永 貴志 徳島文理大学, 神経科学研究所, 教授 (20344046)
石原 康宏 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (80435073)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 熱性けいれん / ドコサヘキサエン酸 / マウス / 脳波 / ペンチレンテトラゾール |
研究実績の概要 |
熱性けいれんは、生後6か月から5歳までの小児に頻繁に起こる。 多くの場合熱性けいれん発症後、特に問題がない単純性熱性けいれん(SFS)と、その後に側頭葉てんかん発症のリスクが2~7倍高くなる複雑性熱性けいれん(CFS)に分類される。そのためCFS後てんかん発症を予防するには、CFS後の適切な対応が重要となる。CFS後(てんかん原性期)の脳内で何が起きているかを理解することがCFS後てんかん発症の予防治療の可能性の足がかりとなる。本研究では、このCFS後てんかん発症の予防的処置としてドコサヘキサエン酸(DHA)の栄養的介入の影響を検討した。生後10日のマウスをヒートチャンバー法による熱性けいれん誘発後、離乳日(19日目)まで母マウスにDHA添加餌を自由摂取させ母乳経由で仔マウスに投与した。これら仔マウスは離乳後6週~7週齢の成獣になるまで普通食で飼育した。その動物の発作感受性は、GABAA受容体遮断薬である低用量ペンチレンテトラゾール(PTZ)を投与し、ビデオ脳波測定法でけいれん強度、脳波波形解析で検討した。 PTZは、対照群、温熱療法群、SFS群と比較しCFS群の発作強度を有意に増加させ、PTZ投与後の発作潜時を有意に短縮した。CFS群は、PTZ投与の前後で異常な脳波を示したことから、PTZ誘発発作感受性が顕著に上昇した。一方、 乳児期にCFSを経験し、母乳経由による授乳期のDHAを摂取し成長したマウスはPTZ誘発発作感受性が正常化した。 さらに、CFS後1週間に仔マウス脳内ミクログリアが活性化した。その活性化は、DHA群では無処置群レベルまで制御されていた。本研究では、DHAはCFS発作後1週間の脳内ミクログリア活性化を抑制することが、DHAがCFS発作直後から脳を保護し、その後のてんかん発症を予防する可能性が示唆されました。
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