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2023 年度 実績報告書

腫瘍血管を制御し薬物集積を増強させる腫瘍選択作動型ブラジキニンの創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K06704
研究機関崇城大学

研究代表者

中村 秀明  崇城大学, 薬学部, 准教授 (30435151)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードがん / ブラジキニン / 高分子性抗がん剤 / pH応答性 / ポリマー
研究実績の概要

本研究計画最終年度においては、レトロインバーソ型ブラジキニン(RIBK)に関する検討を行った。RIBKはブラジキニン(BK)の60%程度の活性になっているものの、マウス血漿中で安定に存在しており、血漿中インキュベーション後にブラジキニン(BK)の活性は消失したのに対し、RIBKはHPLC解析においても分解が認められず、また活性の低下も認められなかった。また有害作用の検討として細胞傷害性および血圧への影響を検討したところ、BKまたRIBKとも明確な細胞傷害性はみられなかった。一方、BKの投与直後にみられる血圧低下がRIBKではみられず、活性の面では劣るもののRIBKはBKよりも安全性が高いと考えられた。またHPMAポリマーへの結合により、pH応答的なRIBKの放出がみられ、ヒドラゾン結合に隣接する置換基に応じて安定性および放出速度の調節が可能であった。
期間全体においては、pH応答性の調節が可能なHPMAポリマー結合型ブラジキニン(CS-BK)を調整し、BK様活性、血漿中安定性、pH応答的放出を検討し、担がんモデルマウスにおける高分子抗がん剤の腫瘍集積性への影響を検討した。pH応答性の調節はHPMAポリマーとBKとの連結に用いているヒドラゾン結合の隣接基を変えることでCS-BKのpH応答性を大きく変化させることが可能であった。ポリマー結合体であるCS-BKは血漿中安定性が高くBK様活性は低かったが、酸性環境に応答してBKを放出することによりBK様活性の回復が認められた。CS-BKの投与により腫瘍への流入血液量が増大し、高分子薬剤の腫瘍集積性ならびに抗腫瘍効果の増大がみられた。これらの効果はpH応答性の高いCS-BKにおいて顕著に認められた。
これらの研究成果は、ブラジキニンを基盤とした抗がん剤の腫瘍集積増強剤の開発に貢献しうるものと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] チェコ高分子科学研究所(チェコ)

    • 国名
      チェコ
    • 外国機関名
      チェコ高分子科学研究所
  • [雑誌論文] Chemical modification of bradykinin-polymer conjugates for optimum delivery of nanomedicines to tumors2024

    • 著者名/発表者名
      Appiah Enoch、Nakamura Hideaki、Assumang Anthony、Etrych Tomas、Haratake Mamoru
    • 雑誌名

      Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine

      巻: 57 ページ: 102744~102744

    • DOI

      10.1016/j.nano.2024.102744

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 腫瘍への薬物送達経路を整備するポリマー結合型レトロインバーソブラジキニンの合成2024

    • 著者名/発表者名
      Assumang Anthony, Hideaki Nakamura, Appiah Enoch, Mamoru Haratake
    • 学会等名
      第144年会日本薬学会
  • [学会発表] 血中安定性を高めたポリマー結合型レトロインバーソブラジキニンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      Assumang Anthony, Hideaki Nakamura, Appiah Enoch, Tomas Etrych, Mamoru Haratake
    • 学会等名
      第39回日本DDS学会
  • [学会発表] Synthesis and Evaluation of Biological Properties of Retro-inverso Bradykinin2023

    • 著者名/発表者名
      Assumang Anthony, Hideaki Nakamura, Appiah Enoch, Tomas Etrych, Mamoru Haratake
    • 学会等名
      第40回薬学会九州山口支部会

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公開日: 2024-12-25  

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