がん選択的に作動するブラジキニン(CS-BK)の創製を企図し、pH応答性が異なるHPMAポリマー結合型ブラジキニン(P-BK)を調整し、高分子抗がん剤の腫瘍集積性を検討した。pH応答性の要となるヒドラゾン結合の隣接基を変えることで、活性を損なわずにpH応答性の調節が可能であった。ポリマー結合体であるP-BKは血漿中安定性が高くBK様活性は低かったが、酸性環境に応答してBKを放出し、血管透過性亢進活性の回復がみられた。またP-BKの投与により腫瘍への流入血液量が増大し、高分子性薬剤の腫瘍集積性ならびに抗腫瘍効果の増大がみられ、これらの効果はpH応答性の高いP-BKにおいて顕著に認められた。
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