研究課題/領域番号 |
21K06707
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
新岡 丈典 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20722276)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬 / 薬物動態 / 薬物動態関連遺伝子多型解析 / 血中ヘモグロビン値 / 個別化投与設計 |
研究実績の概要 |
低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(Hypoxia Inducible Factor - Prolyl Hydroxylase:HIF-PH)阻害薬の血中濃度に及ぼす薬物動態関連遺伝子多型の影響を明らかにするため、薬物動態-薬理遺伝学(PK-PGx)検討を開始した。HIF-PH阻害薬であるロキサデュスタット服用患者の透析施行前及び透析終了後の服用3時間後に採血を実施し、各血液サンプルの濃度(C0及びC3)を、LC-MS/MSを用いて測定した。 C0及びC3の平均値は3.7 mcg/mL及び14.9 mcg/mLであった。これらの値は既存の報告値とほぼ同等であったが、個体間変動(CV値)は70.2%及び85.9%と極めて大きかった。変動要因を特定するためには、現時点でまだサンプルサイズが小さすぎるため、引き続き対象患者の確保に努めていく。 簡便かつ安価で実施可能なHPLC-UV法によるロキサデュスタットおよびバダデュスタットの同時血中濃度測定系の開発も進めているが、まだ確立には至っていない。血液からのHIF-PH阻害薬の抽出は固相カラムを用い、抽出溶媒を濃縮しHPLCに注入する方法で検討を進めているが、透析患者の血液成分由来妨害ピークの影響を最小限に抑えることに苦慮している。 各HIF-PH阻害薬のPK-PGx解析については、統計解析を実施できるくらいの十分なサンプル数を確保でき次第、順次開始し、それらの成果については、国内の学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、HPLC-UV法によるロキサデュスタット及びバダデュスタット血中濃度の同時測定系の確立に時間を要した。また、研究計画立案当初に見込んだ目標症例数を確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在本邦では、5種類のHIF-PH阻害薬が発売されているが、これら全てのLC-MS/MS法による血中濃度測定系を確立した。今後、外来でHIF-PH阻害薬が投与されている患者を中心にリクルートし、PK-PGx解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究立案当初の予算との差額は僅かである。今後実施予定の検討において、薬物血中濃度測定用カラムおよび薬物応答性遺伝子多型解析用試薬の購入費用として、今年度の予算と合わせて使用する予定である。
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