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2021 年度 実施状況報告書

ファーマコメトリクスを用いた免疫抑制剤の個別化投与設計法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K06711
研究機関京都大学

研究代表者

糸原 光太郎  京都大学, 医学研究科, 助教 (00870445)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードエベロリムス / 母集団解析 / 肝移植
研究実績の概要

令和3年度の研究計画は、肝移植患者におけるエベロリムスの母集団解析であった。京都大学医学部附属病院において2018年から2020年に新規にエベロリムスを開始した肝移植患者症例を集積し、非線形混合効果モデル(NONMEM)を用いて母集団解析を行い、エベロリムスの薬物動態パラメータに影響を与える共変量の探索を行なった。また、抽出した共変量に基づいた投与量シミュレーションよりエベロリムスの適切な投与量についての検討を行った。また、肝移植領域においてはエベロリムスは術後4週目以降に開始されることが推奨されているため、事前に免疫抑制剤としてタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤を使用しているケースが多い。そこで、エベロリムスの母集団モデルから算出した個別のクリアランス から患者個別の推奨投与量を算出し、タクロリムスの投与量/血中濃度比との間の単回帰分析により、適切なエベロリムスの投与量を求めることができるかについての検討も行なった。エベロリムスの推奨投与量とタクロリムスの投与量/血中濃度比の間には中等度の相関があることが判明し、事前情報としてのタクロリムスの血中濃度はエベロリムスの投与量設計に利用できる可能性が示唆された。また、小児におけるエベロリムスの投与症例の集積も行い、成人で作成した母集団モデルが小児に外挿できるかどうかをを検討した。現在、解析は終了しており、令和4年度中に学術誌に報告予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度の研究計画は、肝移植患者におけるエベロリムスの母集団解析であった。肝移植患者を対象としたエベロリムスの薬物動態モデルの作成は完了しており、令和4年度中に学術誌に投稿予定である。また令和4年度に解析を実施する予定の肺移植患者におけるタクロリムスの臨床データについての収集を今年度事前に行なっており、速やかに解析に取り掛かる準備が完了している。令和3年度における研究計画は概ね達成していることから、計画は概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

令和4年度は現在論文作成を行なっているエベロリムスの母集団解析結果を学術誌に投稿すると主に、臨床データを収集した肺移植患者におけるタクロリムスの母集団解析に取り組む予定である。肺移植患者においては、タクロリムスの薬物動態に併用薬であるイトラコナゾールの濃度が影響を与えることがわかっている。そこで、イトラコナゾールの血中濃度推移を考慮した薬物動態モデルを作成し、イトラコナゾール併用開始からのタクロリムスの細やかな投与量調節法について検討予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は臨床データの解析を中心に進め、実験用消耗品の購入を必要としなかったため。また、コロナ禍においてオンラインでの学会参加となり、旅費を必要としなかったため。
次年度使用額については、本年度行わなかった、臨床データ解析で抽出された因子の影響を評価および生理学的薬物動態モデルに必要なデータの取得のために基礎実験を行う際の実験消耗品の購入日に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 生理学的薬物速度論モデルを用いたタクロリムスとエベロリムスの体内動態変動因子に関する検討2021

    • 著者名/発表者名
      山口紗緒里, 中川俊作, 糸原光太郎, 杉本充弘, 梶原望渡, 田上裕美, 米澤 淳, 今井哲司, 中川貴之, 松原和夫, 穴澤貴行, 秦 浩一郎, 田浦康二朗, 寺田智祐
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム2021/ 第29回クリニカルファーマシーシンポジウム

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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