研究課題/領域番号 |
21K06719
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
野田 幸裕 名城大学, 薬学部, 教授 (90397464)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 精神疾患横断的病的CNV / アストロタクチン2 / プロトカドヘリン15 / 新生仔期免疫活性化 / 炎症性メディエーター / 神経発達 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
本年度は、精神疾患横断的病的CNVの一つであるアストロタクチン2(Astn2)遺伝子変異マウスの周産期に脳の免疫系を活性化させることで、複合的な曝露が高次脳機能におよぼす影響について、および野生型マウスの新生仔期に脳の免疫系を活性化させた仔の脳内炎症性メディエーターなどの神経化学的な変化について検討した。また、精神疾患横断的CNVの一つであるプロトカドヘリン15(Pcdh15)遺伝子欠失マウスにおける高次脳機能を行動学的・神経化学的に解析した。 ①Astn2遺伝子変異マウスの周産期にポリイノシン:ポリシチジル酸(PolyI:C)を投与したマウスの若年期(生後35日齢)と成体期(生後70日齢)において、社会性が低下していたが、情動(抑うつ、不安)や感覚情報処理機能に影響なかった。若年期に認められた認知機能の障害は、成体期には認められなかった。 一方、新生仔期に脳免疫系を活性化させたマウスにおいて、炎症性メディエーターである腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)やプロスタグランジンE2(PGE2)の生合成に関連するCOX-2の遺伝子の発現が増加していたが、Astn2の遺伝子やタンパク質の発現には有意な変化は認められなかった。 ②Pcdh15遺伝子欠失マウスでは、野生型と比較して自発運動活性や衝動性、忌避学習の亢進が認められた。また、Pcdh15遺伝子欠失マウスの側坐核において、γ-アミノ酪酸(GABA)やドパミン含量、およびグルタミン酸でカルボキシラーゼ(GAD)、GABAトランスポーター(GAT)タンパク質の発現が有意に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Astn2およびPcdh15遺伝子変異マウスの行動解析が終了し、精神疾患横断的CNVと周産期免疫活性化を複合的に曝露したモデルマウスの作製、およびこれらのマウスの行動解析は順次実施できている。現在、複合的に曝露したモデルマウスの脳遺伝子発現の網羅的解析や神経化学的・組織学的解析を行っている。このような多階層的な解析を進めており、概ね順調に研究計画が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、モデルマウスの遺伝子やタンパク質、代謝物の発現を網羅的・特異的に解析する。炎症過程に関連する細胞(グリア細胞など)の発現や形態、および神経細胞の形態や密度、突起長などを組織学的に解析する。脳内炎症の発現機序に関連する神経回路の分子の発現パターンを解析する。これらを通して、新規治療標的あるいは診断・治療マーカーとなりうる因子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越した助成金を消耗品などの物品購入に一部にあてる。
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