哺乳類で横隔膜が進化した発生的背景をさぐるため、ニワトリに横隔膜を再現する試みを行なった。横隔膜発生は四肢筋発生と似ており、ニワトリ胚頸部に過剰肢を作ると、そこに体節から筋芽細胞が侵入して筋ができるから、筋の進化は比較的容易にできたと推測される。一方、筋を動かす神経は頸部過剰肢に入らず、横隔膜進化での障害になると考えられた。過剰肢に神経が入らない原因を調べた結果、中頸部体節に軸索伸長阻害作用があることが分かった。この阻害作用は腕神経叢より頭側の神経のみに作用するものだが、その形態的意味は不明で、鳥類特異的な性質の可能性もあり、今後スッポンを用いた更なる研究が必要である。
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