研究課題/領域番号 |
21K06752
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
謝 敏カク 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (40444210)
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研究分担者 |
松崎 秀夫 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00334970)
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Dopamine / D1R / D2R / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
統合失調症の病態に関する「修正ドーパミン仮説」は、陽性症状(線条体のドーパミン過活動)と陰性症状や認知障害(前頭前皮質の低活動)の両方を説明できるのが特徴であるが、前頭前皮質と線条体の病理の因果関係が不明である。統合失調症患者の死後脳においてN ethylmaleimide-sensitive fusion protein(NSF)発現が低下する報告から、我々は独自に「統合失調症ではドーパミンD1受容体(D1R)の膜局在化に異変が起きているために諸症状が現れる」との仮説をたて、仮説の検証のためにD1Rを発現する神経細胞に特異的なNSFコンディショナルノックアウトマウス(D1R-NSFcKO)を開発して、このマウスが新たな統合失調症モデル動物になる可能性を見出した。そこで、今年度の実験により感覚運動系機能評価である驚愕反応および先行刺激による抑制反応はコントロールマウスに比べて、D1R-NSFcKOマウスでは両方とも有意に低いことを見出した。さらに、Western Blot法によりD1R-NSFcKO線状体でのD1R発現低下が見られたが、D2R、dopamine transporter (DAT) 、Tyrosine hydroxylase (TH)およびDopamine- and cAMP-Regulated Phosphoprotein, Mr 32 kDa (DARPP-32)の発現変化はみられなかった。また、D2Rを発現する神経細胞特異的なコンディショナルノックアウト(D2R-NSFcKO)マウスを作製した。このD2R-NSFcKOマウスではD1R-NSFcKOマウスと同様な異常な回転運動はみられなかったが、オープンフィールド新奇環境内における対照マウス に比べ、D2R-NSFcKOマウスの運動量は有意に増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)D1R-NSFcKOマウスでの感覚運動障害を見出した。 D1R-NSFcKOマウスでは感覚運動系機能評価である驚愕反応がコントロールマウスにくらべて低かった。さらに先行刺激による抑制(prepulse inhibition:PPI) 反応でもD1R-NSFcKOマウスでは有意に低いことが見られた。 2)D2Rを発現する神経細胞特異的なコンディショナルノックアウト(D2R-NSFcKO)マウスを作製した。このD2R-NSFcKOマウスを用いて行動評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1)マウスへの抗精神病薬の投与効果の確認 抗精神病薬(非定型:クロザピン;10 mg/kg、リスペリドン;0.1 mg/kgおよび定型:ハロペリドール;0.1 mg/kg)を1週間から4週間投与し、それぞれの投与前後に行動評価を行う。行動評価終了後に脳を剖出して免疫染色を行い、前頭前皮質・線条体・海馬でD1R、D2R、DARPP32、GABA、DAT、TH神経細胞の計測を行い、抗精神病薬の効果を評価する。 2)このマウスの脳内D1R/D2Rの発現バランスや行動異常の有無を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由)マウスへの抗精神病薬などの投与効果の確認の費用のために翌年に繰越した。 使用計画)抗精神病薬などの投与効果確認のため試薬や抗体購入の費用に充てる。
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