研究課題/領域番号 |
21K06761
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
上田 祐司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10364556)
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研究分担者 |
田中 十志也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (20396930)
入澤 篤志 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60295409)
徳田 信子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70227578)
富永 圭一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90438698)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / エクソソーム / 細胞外小胞 / 腸内細菌 / リンパ / 樹状細胞 / 多重免疫染色 / ラット |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis, UC)の根本的な原因は未だ不明である。近年、腸内細菌成分の大腸組織への侵入がUC発症に関与すると考えられているが、その実態は生体内で詳細に証明されてはいない。これまでの研究背景から、粘膜バリア機能が低下したUC潜在期の大腸は腸内細菌が産生するエクソソーム(bacteria-berived exosome, BEx)の侵入部位となり、BExはリンパ行性に所属リンパ節へ伝達されるという仮説を立てた。本研究ではUCモデルラットの大腸リンパよりBExを直接単離して、その構成分子と動態、経路を個体レベルで明らかにして病態発現に果たす役割を解析する。 研究2年目は、UC潜在期における免疫応答と抗原伝達機構を中心に解析を行った。前年に見出した炎症結腸の所属リンパ節における細胞応答の変化を経時的に観察したところ、体重変化や下痢などの臨床所見の発現に先行して特定のリンパ球集団に選択的な増殖性応答が認められた。これらの細胞はやがて病巣にも集積したことから病態に深く関与すると考えられた。次にリンパ球活性化因子を探索すべくUC潜在期のリンパより結腸由来のエクソソームと樹状細胞(colon-derived dendritic cells, colon DCs)の解析を行った。興味深いことに、UC潜在期においてエクソソーム、colon DCの数にそれぞれ有意な変化が認められた。現在、これらをソースに活性化因子の網羅的解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究施行の順に違いはあるものの全体的には当初の研究計画や、前年度に目標とした研究の推進方策を順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
腸炎発症に深く関わる細胞集団の候補を見出せたので、本テーマの核心である腸内細菌由来の細胞外小胞、あるいはその構成成分が炎症起点の形成にどのように関わるのかを早急に見出す。その上で、因子を同定した際には疾患予測因子や増悪指標としての有用性を実験動物ならびに臨床検体においても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める上で必要な試薬の一部を共用できたため出費を抑えることができた。また、次年度に網羅解析を行うことを念頭に、申請研究費と配分金のギャップを考慮しつつ研究費捻出を考えたため、一部の研究を見送ったために差額が生じた。
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