• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

電位依存性イオンチャネルによる神経前駆細胞発達制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06766
研究機関浜松医科大学

研究代表者

秋田 天平  浜松医科大学, 医学部, 教授 (00522202)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード胎生期 / 大脳基底核原基 / 神経前駆細胞 / イオンチャネル / 電位依存性 / ナトリウムイオン / カリウムイオン / 発達性てんかん性脳症
研究実績の概要

本年度は、マウス胎生14日目の大脳内側基底核原基内の抑制性神経前駆細胞に注目し、その細胞膜で機能していると考えられる電位依存性イオンチャネルの種類を明らかにする解析に着手しました。1つの細胞の総イオンチャネル電流を、細胞膜電位をコントロールした状況で計測したところ、生理的条件下の電流の殆どがNa+とK+の移動によるもので、Gd3+で抑制されるNa+とK+の双方を透過しうるチャネルと、4-aminopyridine(4-AP)で抑制されるK+透過型チャネルの2種類の電流成分から成ることが判明しました。Gd3+感受性成分は-30 mV以下の膜電位で小さなNa+流入をもたらし、-30 mV以上の膜電位で透過性が電位依存的に増加して主にK+流出を促しました。4-AP感受性成分は-30 mV以下の膜電位ではチャネルが殆ど開いておらず、-30 mV以上の膜電位で電位依存的に透過性が急峻に増加してK+流出を促しました。また、この細胞の静止膜電位は-30 mV近辺で、Gd3+感受性成分の抑制は静止膜電位を一層負側に、4-AP感受性成分の抑制は逆に正側にずらしたことから、これらの2種類のチャネルにより、この細胞の静止膜電位が-30 mV近辺で安定化されていることが示唆されました。
この他、以前より研究中の、発達性てんかん性脳症を引き起こす電位依存性K+チャネルKv2.1 R306C変異体の神経発達への影響について、この変異を遺伝子導入したマウスの大脳皮質錐体神経細胞の発火活動の解析を行いました。その結果、変異導入神経では興奮性電流入力中の連続発火活動の発火間欠期の有意な延長と膜電位レベルの上昇が認められ、その知見を学会で報告しました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度後半より所属変更の準備に追われたこと、また以前指導した大学院生の論文執筆・投稿・改訂作業に追われ、本研究課題に割ける時間が少なくなったため。

今後の研究の推進方策

抑制性神経前駆細胞のGd3+感受性及び4-AP感受性成分を担うチャネル分子の候補を、分子生物学的手法(RT-PCR法等)により絞り込み、候補分子の遺伝子発現抑制や特異的阻害剤投与等の電流への効果を調べることにより、分子種を同定します。その後、それぞれのチャネル分子の発現抑制ないし増強の、神経発達への影響を調べます。マウス胎生14日目以降は、この前駆細胞が発達中の大脳皮質に向かって活発に移動を行っている時期なので、特にチャネル分子発現制御の細胞移動への影響に着目します。
また、発達性てんかん性脳症を引き起こすKv2.1変異の影響については、連続発火中の発火間欠期の延長及び膜電位レベルの上昇が、如何に神経群の同期的周期的発火活動を誘起し、てんかん症状をもたらすのか、その機序の解明を目指します。

次年度使用額が生じた理由

交付決定額が申請額よりも大幅に減額されたことにより、当初本年度に購入予定だった遺伝子導入装置が購入できなくなったことによります。次年度以降の交付額も減額されているため、遺伝子導入装置の購入は諦め、ウイルスベクターを用いるか、或いは神経前駆細胞を脳より取り出し単離したのちに、キュベット内で電圧付加により遺伝子導入し、その細胞を脳スライス切片内に移植する等、経費を抑えた方法に変更することを計画しています。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 発達性てんかん性脳症を引き起こすKv2.1 R306C 変異の大脳皮質錐体神経発火活動への影響について2021

    • 著者名/発表者名
      秋田天平、青戸一司、才津浩智、福田敦夫
    • 学会等名
      第68回中部日本生理学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi