研究課題/領域番号 |
21K06768
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80161397)
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研究分担者 |
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447877)
星野 真介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70747576)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心筋細胞 / 心筋細胞サブタイプ / 多核 / 核分裂異常 / ACMs |
研究実績の概要 |
申請者らは,マウスの心臓を酵素処理して得られた細胞群の中に拍動する新規の細胞を見出し,「非定型心筋細胞(Atypically-shaped cardiomyocytes, ACMs)」と命名した。この細胞の機能解析を進めてきた結果,ACMsは,心室筋,心房筋および洞房結節細胞の特徴を併せ持ち、胎生期心筋の特徴を維持しながら、増殖せずに終生にわたって心臓に存在することが明らかになった。ACMの多くは三核以上の多核であり,不規則あるいは不完全な核分裂により複数組の核クラスタ-を形成するなど,心筋細胞とは異なる特徴も示す。このことは、ACMが心筋細胞の”前駆細胞”であるか、あるいはそれ以外の例えば心筋細胞の亜集団に属する細胞なのか、を推察する手がかりとなる。 そこで、心室筋細胞とACMの核の形態を詳しく調べたところ、核溝などの核膜形成異常のような核はACMと同様に心室筋細胞にも広く存在することがわかり、心 筋細胞が分裂・増殖を行わないことと関係していると推察された。しかし、心室筋細胞では、ACMで観察されたような核クラスターやDNAブリッジのような”高度 異常”は見られなかった。このような異常核はがん細胞で存在することが報告されているが、ACMはがん細胞のように増殖を行わないことから、がん細胞の核と は異なる分子メカニズムが存在すると考えられた。胎生期の細胞が個体の中で出生後も存在し続ける例は他の組織でも知られている。これらのことから、ACMsは、心筋細胞の前駆細胞ではないことが強く示唆され、心筋細胞のサブタイプの一つであると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究棟改修工事に伴う引っ越しにより、機器等の再調整に時間がかかり、実験の進捗がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
核膜形成異常に関わる分子を特定し、細胞分裂が停止する原因を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究棟改修工事に伴う研究室引っ越しのため機器のリセッティングと調整に時間を有したため。
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