研究課題
NRBP1-BRI2間の結合を阻害する化合物のスクリーニングを、理研NPDepo(天然物化合物)ならびに東大コア(低分子化合物)のライブラリー(約3万化合物)を用いて実施した(下記の一次/二次から高次評価)。(1) 一次評価/二次評価(理化学研究所の創薬・医療技術基盤プログラム支援のもと実施): BRI2とNRBP1に二分割した分泌型ガウシアルシフェラーゼ(Gluc)のN末側(Gn)、C末側(Gc)を各々連結させたGn-BRI2とGc-NRBP1を用いた2分子発光補完法によるハイスループットスクリーニングを行った。一次評価では、化合物濃度5 μMにおいてNRBP1-BRI2間の結合阻害率50%以上かつ細胞増殖阻害率50%以下のものを選抜して439個の化合物が得られた。二次評価では、結合阻害の濃度依存性試験と偽陽性を排除するための全長Glucを用いたカウンター試験を行い88個の化合物が得られた。(2) 三次評価:BRI2とTR-TUBE(トリプシン抵抗性ユビキチン鎖結合タンパク質)を発現させたNRBP1安定発現293T細胞に化合物を添加し、NRBP1-ユビキチンリガーゼによるBRI2のユビキチン化を阻害するものを選抜し12個の化合物が得られた。(3) 高次評価:三次ヒット化合物を、① 神経系培養細胞に添加して、細胞内のBRI2/BRI3タンパク質量が増加し、かつ培養上清中のβアミロイド(Aβ)40/42の濃度が低下するもの、② Gn-Aβ42とGc-Aβ42の安定共発現293T細胞に添加して、培養上清中のAβの凝集を抑制するものを選抜し、最終的に天然物由来の2個のヒット化合物A、B(未発表のため仮称)が得られた。
3: やや遅れている
コロナ禍の影響で化合物の入手等に時間を要した。 また、天然物由来の化合物は分子構造が複雑なため合成が難しく、類縁体の幅広い合成展開が難しい状況である。現在、得られたヒット化合物の類縁体の合成を可能な範囲で進めている。
タンパク質間相互作用の阻害を予測して分子設計・合成され、且つ合成展開が可能なAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の中分子化合物ライブラリーのスクリーニングを実施する。さらに、特殊環状ペプチドライブラリーのスクリーニングも行う予定である。
コロナ禍の影響で、化合物の入手等に時間を要し研究に遅延が生じたため。生じた次年度使用額は、翌年度分と合わせて引き続き化合物のスクリーニングに必要な試薬・プラスティック器具等の購入に充てる。
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