• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

電気的軸索誘導の分子機構解明:細胞膜近傍カルシウムによるインテグリン活性の制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K06772
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

山下 勝幸  国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20183121)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード電気的軸索誘導 / galvanotropism / インテグリン / 鶏胚網膜 / 培養 / 網膜神経節細胞 / 細胞外マトリックス / カルシウム
研究実績の概要

発生期の網膜内には細胞外電位勾配が存在し、網膜神経節細胞の軸索はこの電場に誘導されて伸長する (Yamashita, 2013)。これまでの研究からインテグリンと細胞外Ca2+が電気的軸索誘導のキー分子である証拠を得た。インテグリンはリガンド結合ドメインにCa2+が配位するとその活性が抑制される。本研究では、① 電場により軸索細胞膜近傍Ca2+が非対称に分布するか、② インテグリンが非対称に活性化されると微小管が非対称に安定化されるか、を明らかにする。そのために超高倍率共焦点蛍光撮像システムを構築した。中間変倍レンズを3カ所に挿入し、7.2 nm x 7.2 nm/pixelの倍率を得た。蛍光強度の減衰を補うためにsCMOSカメラの直前にイメージインテンシファイアを接続した。励起光も減衰するため高出力のレーザー光源を導入した。電場をかけるとCa2+イオンは陽極側から陰極側へ動く。令和3年度では単一軸索の陽極側表面と陰極側表面におけるCa2+動態を超高倍率共焦点蛍光撮像システムを用いて記録した。鶏胚網膜をMatrigelの薄層内にて極細の毛筆を用いて細胞塊化して培養し、伸長する単一軸索を可視化した。軸索に対して直角に電場をかけ、軸索の陽極側に、Ca2+感受性蛍光色素(Calbryte-520L)とCa2+イオンを含んだ微小ガラス管ピペットを置き、蛍光色素とCa2+イオンをピペットから軸索周囲に拡散させた。なお、軸索を含むMatrigelの薄層は予めCa2+-free 溶液で洗浄し細胞外Ca2+濃度を低下させた。電場をかけるとCa2+蛍光は軸索の陽極側表面と陰極側表面において増大した。電場により増加した蛍光の積分値を算出した結果、陽極側の値は陰極側の値より大であった。この結果は軸索の陽極側表面により多くのCa2+が集まり、Ca2+が非対称に分布することを示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため出張の機会がなくなり、実験回数が増えたため。

今後の研究の推進方策

令和4年度では、インテグリンが非対称に活性化されると微小管が非対称に安定化されるか、を明らかにする。そのために超高倍率共焦点蛍光撮像システムを用いて単一軸索内における安定化型微小管の分布を解析する。電場内で培養した単一軸索をノコダゾールで30分処理し、非安定化型微小管を消失させる。この処理後、微小管をTubulinTracker Green で蛍光ラベルし、安定化型微小管の分布を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

蛍光撮影の感度を上げるためにイメージインテンシファイアを増設する予定でその経費を令和3年度に計上したが、現有のイメージインテンシファイア1台で撮影感度が充足したため、次年度への繰り越し額が生じた。繰り越し額は論文のオープンアクセス費用、及び、薬品の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Calcium Fluorescence Recordings from Neuroepithelial Stem Cells2021

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Masayuki
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2346 ページ: 73~78

    • DOI

      10.1007/7651_2020_290

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi