研究課題/領域番号 |
21K06773
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
畠山 裕康 北里大学, 医学部, 准教授 (00619067)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インスリン / イメージング / 細胞骨格系 |
研究実績の概要 |
本研究では、インスリン分泌を調節する主要な過程であるにも関わらず、最も理解に乏しい「インスリン分泌顆粒の動員過程」を制御するしくみを定量的に理解することを目的とする。このために、蛍光ナノ粒子である量子ドットを用いた一分子イメージングによりインスリン分泌顆粒の動態を高精度に計測できる独自の手法を開拓し、さまざまな分泌調節因子による制御様式を定量記述することを目指した実験を行う。昨年度までに、HaloTag融合インスリン分泌顆粒膜タンパク質を発現させたラット膵β細胞由来のINS-1細胞に対して量子ドットを結合させたHaloTagリガンドを導入して標識することで、インスリン分泌顆粒の動態を高速かつ高い位置制度で追跡できる手法を確立した。本年度は、この手法を用いて、微小管やアクチンのような細胞骨格系によるインスリン分泌顆粒動態の調節様式について解析を行った。すなわち、これら細胞骨格系のダイナミクスを変化させる複数の薬剤を投与し、その前後における動態の違いを比較した。その結果、(1)微小管のダイナミクスは、比較的長時間に渡るインスリン分泌顆粒の動態に対して促進的な作用をもつこと、(2)アクチンはインスリン分泌顆粒の動態に対して比較的短期間の動態から抑制的な作用をもつことを見出した。これらの薬剤はグルコース刺激に伴うインスリン分泌も変化させ、細胞骨格系に依存するインスリン分泌顆粒動態の重要性を示唆する。現在、いくつかのインスリン分泌調節因子による動きの調節について解析を進めるとともに、本手法に関する学術論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に則り、ほぼ予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、細胞骨格系によるインスリン分泌顆粒動態調節について、作用機序の異なる複数の薬剤を使い分けながら解析を進めるとともに、昨年度までに浮かび上がってきた改善すべき点について検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度末に購入した試薬類により本年度の実験は賄うことができた。来年度複数回の購入を見込む。
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