インスリン分泌は生体における血糖制御の中核を担う重要な細胞機能であり、その機能の障害は糖尿病の発症に至る。日本人の糖尿病ではインスリン抵抗性の増悪に比べてインスリン分泌が極端に定値となることが知られており、インスリン分泌機構の全貌理解は社会的急務である。本研究は、インスリン分泌を調節する過程の主要な過程のうち、技術的制約から最も理解に乏しかったインスリン分泌顆粒の輸送について、定量的な知見を得るための新たな手法を開拓し、その制御様式や病態との関連について知見を得たものである。今後のさらなる計測により、インスリン分泌調節とその破綻に関する統合的理解と糖尿病の新規治療戦略の開拓が期待できる。
|