研究課題/領域番号 |
21K06774
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
古林 創史 昭和大学, 薬学部, 講師 (50511531)
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研究分担者 |
野部 浩司 昭和大学, 薬学部, 教授 (30276612)
柴田 佳太 昭和大学, 薬学部, 准教授 (50727328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CHP3 |
研究実績の概要 |
肥満や2型糖尿病は、心肥大のリスクファクターである。これらが合併すると予後が悪くなることが知られているが、その治療法および予防法は未だ確立されていない。カルシニューリンB様タンパク質3(CHP3)は心臓に多く発現するが、機能が不明なタンパク質の一つである。先行研究により、CHP3をノックダウンした心筋細胞は肥大化することがわかった。また、CHP3がインスリンシグナルの中核を担うタンパク質であるAktやGSK3βの活性を負に調節する可能性を見出した。インスリンシグナルの亢進は、心肥大の発症を引き起こすことが知られており、CHP3が肥満や2型糖尿病による心肥大の形成を抑える鍵となるのではないかと考えられた。本研究では、CHP3欠損マウスを用いてこの仮説を検証することを目的とした。生後11週目のCHP3欠損マウスの体重は野生型と同程度であったが、30週齢を超えると有意に増加した。11週齢のCHP3欠損マウスでは、心臓の長径は野生型と変わらなかったが、60週齢では野生型マウスに比べて大きくなる傾向が見られた。一方、骨格筋についても検討したところ、11週齢のCHP3欠損マウスでは大腿直筋とヒラメ筋の重量が減少し、筋力も減弱する傾向が見られた。骨格筋は、血中の約8割の糖を消費する臓器であるため、CHP3欠損による骨格筋の減少が肥満や2型糖尿病の発症や増悪に関わる可能性が考えられた。マウス筋芽細胞C2C12を用い、骨格筋におけるCHP3の役割も並行して解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生児CHP3欠損マウスを十分に確保できておらず、単離心筋細胞を用いた研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
CHP3欠損マウスの体重が増加する傾向にあるため、当初の予定通り経口ブドウ糖負荷試験およびインスリン負荷試験を用いて、インスリン抵抗性を評価している。また、CHP3欠損マウスの心筋だけでなく骨格筋にも変化がみられたため、骨格筋におけるCHP3の働きも検討する。
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