研究課題/領域番号 |
21K06784
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
黒川 竜紀 大分大学, 医学部, 准教授 (40527701)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | イオンチャネル / 酸化ストレス / ナトリウム利尿ペプチド |
研究実績の概要 |
酸化ストレスは心不全の増悪因子の1つとされているが、この酸化ストレスを感知するセンサー分子の同定やシグナル経路の解明など多くの点で未解明である。最近研究代表者は、酸化感受性TRPV1チャネルと、心臓リモデリング抑制作用を持つナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)の受容体であるA型ナトリウム利尿ペプチド受容体(NPR1)が直接相互作用することを見出した。そこで本研究では、TRPV1シグナルとナトリウム利尿ペプチド系経路の相互関係を解明することで、酸化ストレスによる心臓リモデリングの分子機構の解明につなげることを目的とする。 2021年度の研究成果では、心筋細胞における酸化ストレスによる心肥大および細胞死への影響(実施内容1-1)について研究を行った。過酸化水素刺激により細胞肥大が誘導されたラット心臓由来H9c2細胞では、病的伸展シグナルであるBNPやβミオシン重鎖(βMHC)と同時にTRPV1、TRPV2、TRPM2のmRNA発現量が増加していた。TRPV1の選択的活性化剤であるcapsaicin刺激を行うと、BNPとβMHCの発現量は増加した。さらに過酸化水素刺激によるBNPとβMHCの発現量増加は、TRPV1選択的阻害剤であるcapsazepineにより抑制された。以上の結果より、TRPV1チャネルが心筋肥大における酸化ストレスセンサーの一つであることが示唆された。 本年度は、シグナル伝達経路の解明(実施内容1-2)について研究を行った。具体的には、ラット心臓由来H9c2細胞において、過酸化水素刺激による細胞肥大誘導と同時に、Ca2+キレート剤や各種シグナル経路の阻害剤を加え、心筋肥大とその関連因子の発現を調べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画通りに進んでいるから
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も、シグナル伝達経路の解明(実施内容1-2)について進め、同時にANP/BNPによるTRPV1活性の阻害(実施内容2-2)も進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
抗体を外注にて作製予定であったが、抗原部位の決定に遅れが出ており、外注による抗体作製が遅れているから。2023年度は引き続き抗原部位の決定もしくは、市販の抗体の可能性も視野に入れる。
|