研究課題/領域番号 |
21K06786
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中條 浩一 自治医科大学, 医学部, 教授 (80390699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電位依存性カリウムチャネル / KCNQ1チャネル / 心臓 / QT延長症候群 / 電位センサードメイン / ゼブラフィッシュ / HCN4チャネル / 修飾サブユニット |
研究実績の概要 |
当該年度は、KCNQ1チャネルの修飾サブユニットであるKCNE1とKCNE3について、ゼブラフィッシュゲノムよりプロモーター領域を同定し、それぞれの発現部位を、GFP蛍光を観察することで解析した。KCNE1はヒトなどと同様に心臓での発現が認められたが、そのほか耳、側線などでの発現が認められた。一方KCNE3に関しては、心臓での発現が観察された。ヒトなどにおいては、KCNE3は主に上皮細胞などに発現しているため、生理的な機能がゼブラフィッシュとヒトではやや異なることが示唆された。 このKCNE3について、さらにCRISPR/Cas-9によるknock outラインを作成しているところである。これまでのところ、KCNE3のノックアウトにより発生初期の心臓の大きさに違いがあるという初期データを得ている。 ヒトのKCNE3がKCNQ1チャネルのゲーティングメカニズムを変えて開きっぱなしにするメカニズムについて、KCNQ1チャネルのS1セグメントに着目し、S1セグメントのアミノ酸がKCNE3との結合と機能調節メカニズムに重要であることを明らかにした。具体的にはS1とKCNE3の接触面に存在するすべてのアミノ酸に対して、4~5個の異なるアミノ酸に変異することで、これらのアミノ酸の大きさが最適されていることを示すことができた。この成果はeLife誌に論文として発表した。今後はこの成果をもとに、KCNE1やKCNE4など、KCNEファミリーの他のタンパク質でも同様の最適化が行われているのかを明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼブラフィッシュイオンチャネルの機能解析、発現解析、新しいトランスジェニック動物の作成については概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
KCNE3のノックアウト動物について、心臓の大きさなどに違いがあるかどうかを詳しく検証する。その他の修飾サブユニットKCNE1,KCNE4についても、プロモーターのクローニングによる発現解析、ノックアウト動物の解析を行う予定である。アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた機能解析と併せ、ゼブラフィッシュ生体内での複合体構成とその生理機能を明らかにすることを目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外旅費が想定より多くかかる可能性があり、多めに前倒し支払い請求を行ったために次年度使用額が残った。翌年度分の助成金と併せ、物品費や旅費として使用する予定である。
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