当該年度は、KCNQ1チャネルの修飾サブユニットであるKCNE1とKCNE3について、それぞれの発現部位をGFP蛍光を観察することで解析した。特に生後3ヶ月経った成魚における心臓での発現部位を詳細に解析し、KCNE1は心臓の一部に限局した発現を示す一方、KCNE3は心臓全体に発現していることが明らかとなった。 昨年度までにヒトのKCNE3がKCNQ1チャネルのゲーティングメカニズムを変えて常時開状態にするメカニズムについて、KCNQ1チャネルのS1セグメントに着目し、S1セグメントのアミノ酸がKCNE3との結合ならびに機能調節メカニズムに重要であることを明らかにした。当該年度では、この成果をもとにKCNE1のKCNQ1チャネル制御メカニズムにおけるS1セグメントの役割を検討した。その結果、KCNE1においてもS1セグメントがゲーティング修飾メカニズムに重要な役割を果たしていることがわかった。一方で、KCNE3とは異なり、S1の上部と下部で役割が異なることを示唆する新たな結果を得た。以上の成果は現在論文にまとめ、投稿準備中である。 また当該年度では、KCNQ1チャネルを抑制するKCNE4についても、その抑制機構におけるS1セグメントの役割を検討した。KCNQ1チャネルS1セグメントの変異体を様々試した結果、KCNE4の抑制機構が損なわれることがなかったため、S1セグメントはKCNE4の抑制機構に重要ではないと結論した。KCNE1やKCNE3とは異なるメカニズムによってKCNQ1チャネルと相互作用していると考えられた。
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