• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

心臓ペースメーカ組織障害と代謝リモデリングの関連性解析とmiRNAの役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06790
研究機関立命館大学

研究代表者

中尾 周  立命館大学, 生命科学部, 講師 (30646956)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード心臓電気生理学 / 病態生理学 / 細胞内エネルギー代謝 / 心臓刺激伝導系 / 非コードRNA
研究実績の概要

持久運動のアスリートには心拍数の著しい低下(徐脈)の発生リスクが高いが、その分子メカニズムの全貌は明らかでない。研究代表者らは、こうした運動誘発性徐脈の原因として心拍動の指令塔である心臓ペースメーカ組織におけるイオンチャネル機能低下があること、それには特定の転写因子やマイクロRNA(miRNA)の発現変動が重要であることを見出し、さらに、予備実験のRNA-seq解析から、これまで不明であったペースメーカ組織固有の代謝様式を特徴づける遺伝子発現パターンを発見している。本研究で計画している、研究1)心臓ペースメーカ組織に特有の生理学的なエネルギー代謝様式;研究2)持久運動による心臓ペースメーカ組織の代謝様式の変化;研究3)代謝変化と心拍調節機能との関連性およびmiRNAの関与の解明のうち、現時点では研究1)および3)に関連して、心拍生成に関与するエネルギー基質の依存度解析および洞房結節に高発現するmiRNAプロファイリングを実施した。その結果、洞房結節の心拍調節には好気性代謝が優位であることが判明し、さらに依存性の高いエネルギー基質の特定を進めている。また、洞房結節に高発現するmiRNAには心臓の他の領域と共通するものだけでなく洞房結節特異的に発現する可能性のあるmiRNAも含まれていることが見いだされ、これらのmiRNA発現ベクターを作製した。次年度は、このベクターをもちいた脂質代謝因子の転写制御因子へのmiRNAの結合および転写活性の抑制効果の検証に進む。また、研究2)持久運動モデルにおける代謝様式の変化は、マウスモデルを作製し、摘出心臓を用いた組織レベルの電気生理学的解析をエネルギー代謝酵素阻害薬を用いて実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で計画している、1)心臓ペースメーカ組織に特有の生理学的なエネルギー代謝様式;2)持久運動による心臓ペースメーカ組織の代謝様式の変化;3)代謝変化と心拍調節機能との関連性およびmiRNAの関与の解明のうち、現時点では研究1)および3)に関連して、心拍生成に関与するエネルギー基質の依存度解析および洞房結節に高発現するmiRNAプロファイリングを実施した。その結果、洞房結節の心拍調節には好気性代謝が優位であることが判明し、ある程度エネルギー基質の特定が進んでいる。また、洞房結節に高発現するmiRNAには心臓の他の領域と共通するものだけでなく洞房結節特異的に発現する可能性のあるmiRNAも含まれていることが見いだされ、それらのmiRNAの発現ベクタープラスミドを構築した。次年度に代謝制御因子を標的とするmiRNAの特定をバイオインフォマティクス解析ならびにルシフェラーゼ解析によって検証する。

今後の研究の推進方策

心臓ペースメーカ組織・洞房結節に特有のエネルギー代謝様式について、洞房結節組織に特異的な代謝産物プロファイルを把握するために、178種類のエネルギー代謝物を高感度に同時定量可能なメタボローム解析を実施する。解糖系および好気性代謝の機能を定量化するために、摘出マウス洞房結節組織における乳酸産生速度(解糖系)と酸素消費速度(ミトコンドリア呼吸)をリアルタイムで測定可能なXF Analyzer(Agilent社)で検証する。さらに、好気性代謝の場であるミトコンドリアの形態解析をマウスあるいはウサギの心臓を用いて蛍光イメージングおよび電子顕微鏡によって検証する。
上述の研究によって明らかになってくる心拍数制御の基盤となる代謝産物および代謝経路が持久運動によってどのように変化するのかを、運動誘発性徐脈モデルマウスについて、XF Analyzerを用いた代謝機能解析およびミトコンドリア形態解析によって検証する。また、見出された代謝変化を標的とする流通医薬品を投与下で運動実験を実施し、運動誘発性徐脈に対する予防効果を検証する。
また、マウスの洞房結節に高発現し、運動刺激によって変動するmiRNAの細胞内代謝の影響を検証するために、それらのmiRNAの標的となりうる、運動で発現変動する代謝制御関連遺伝子をin silico解析によって予測し、さらに培養細胞を用いたルシフェラーゼアッセイで実験的にもそれらの遺伝子発現に影響を及ぼすか否かを検証する。

次年度使用額が生じた理由

電子顕微鏡解析のための予算として確保していたが、軌道に乗っている電気生理学的解析を今年度は優先して遂行した。繰越した研究費は電子顕微鏡解析のための予算とする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (3件)

  • [国際共同研究] University of Manchester/University of Liverpool(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Manchester/University of Liverpool
  • [国際共同研究] University of Montpellier(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      University of Montpellier
  • [国際共同研究] University of Copenhagen(デンマーク)

    • 国名
      デンマーク
    • 外国機関名
      University of Copenhagen
  • [雑誌論文] Canonical Wnt signaling activation by chimeric antigen receptors for efficient cardiac differentiation from mouse embryonic stem cells2023

    • 著者名/発表者名
      Sogo T, Nakao S, Tsukamoto T, Ueyama T, Harada Y, Ihara D, Ishida T, Nakahara M, Hasegawa K, Akagi Y, Kida Y, Nakagawa O, Nagamune T, Kawahara M, Kawamura T
    • 雑誌名

      Inflamm Regen

      巻: 43 ページ: 11

    • DOI

      10.1186/s41232-023-00258-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 洞房結節におけるエネルギー代謝依存性の電気生理学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      中谷真由、堀本嵩人、植山萌恵、中尾 周、川村晃久
    • 学会等名
      第100回日本生理学会大会
  • [学会発表] 新生仔マウスの心筋再生に関与する新規miRNAの探索2022

    • 著者名/発表者名
      相澤茉優、中原正登、石田智明、植山萌恵、中尾 周、川村晃久
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年次大会
  • [備考] ORCiD

    • URL

      https://orcid.org/0000-0001-8990-1179

  • [備考] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/ShuNakao

  • [備考] 東海大学 医学部医学科 基礎医学系 生体機能学領域 ​応用分子生理学研究室(中尾研)

    • URL

      https://nakaolab2021.wixsite.com/home

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi