研究課題
基盤研究(C)
本研究では、上皮細胞の最終分化に関与する転写因子であるE74-like factor 3 (ELF3) が、細胞の異常 (がん遺伝子の発現など)を感知して細胞死を誘導し、がんの発生を抑制している可能性を明らかにした。さらにELF3は、ウィルス感染細胞やがん細胞などの異常細胞を直接殺傷するNK細胞やCD8 陽性T細胞を遊走させる因子を増加させることを見出し、ELF3のがん抑制遺伝子としての機能を明らかにした。
腫瘍生物学
これまでに私たちは上皮細胞の分化に寄与する転写因子である ELF3 が、ファーター乳頭部癌や胆管癌において機能欠損型の遺伝子異常を起こしていることを明らかにしており、がん抑制遺伝子である可能性が示唆されていた。しかしながら、どのようにELF3ががんを抑制しているかといった詳細な機能は明らかにされていなかった。本研究では、ELF3はがん発生の初期に細胞の異常を感知して細胞死を誘導していることや、異常細胞を攻撃する免疫細胞を呼び寄せる働きをしていることを見出した。