研究課題/領域番号 |
21K06803
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
本田 健 久留米大学, 医学部, 准教授 (30457311)
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研究分担者 |
朝霧 成挙 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20372435)
酒井 大樹 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40464367) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 液液相分離体 / 細胞分化 / 心筋細胞 / PDZRN3 |
研究実績の概要 |
PDZRN3の心筋分化における役割を明らかにするため、最終年度ではPDZRN3の新たな相互作用相手の探索を軸とし、それらの分化制御における位置付けの解明を目指した。抗PDZRN3抗体を用いて筋細胞ライセートからPDZRN3の共沈タンパク質群を抽出し、質量分析にて網羅的に解析した。さらに、PDZRN3に対する複数の異なる部位を認識する抗体を用いて、それらに共通して免疫沈降されるタンパク質に絞り込んだ。PDZRN3はタンパク質相互作用に関わるドメインやモチーフを複数持つため、それらに対応する構造要因を持つものに注目し、最終的にタンパク質X(論文投稿を控えるため、ここではXと表記)を同定するに至った。タンパク質XはPDZ結合モチーフを有し、Wntシグナル経路の調節因子として働くことが知られている。また、パラスペックル形成にどのような影響を持つのかは不明であるが、核内で機能することが分かっており、液-液相分離を形成するタンパク質に多く観察される構造であるdisordered regionを分子内に有している。PDZRN3との相互作用様式を解析したところ、PDZドメインおよびPDZ結合モチーフ間での結合が確認された。また、RNA干渉法によりPDZRN3の発現を抑制するとタンパク質XのmRNA発現量には影響せず、一方タンパク質レベルの増加が観測されたことから、PDZRN3はタンパク質Xのタンパク質量を制御する可能性が見出された。これがユビキチンリガーゼ活性によるものかは現時点で不明である。また、最終年度に研究代表者の異動があり、細胞培養や生化学実験に必要な設備、試薬の準備など、系の立ち上げに時間を要したため、予定していた計画は遅れたが、今後、PDZRN3およびタンパク質Xがどのように液-液相分離およびパラスペックルに関与するのか検討していく予定である。
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