研究課題/領域番号 |
21K06808
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
福冨 俊之 杏林大学, 医学部, 助教 (30439187)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / プロテオミクス / ペプチドミクス / 診断マーカー / 血清 / メタボロミクス / アミノ酸分析 |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群 (HDP) は、5~7%の妊婦に発症する高血圧を主体とした疾患である。その重症化は、母体・胎児双方に重大な合併症の原因となる。HDPの病因・病態については、今なお、不明な点が多く、妊娠の中断以外には根治的な治療法がなく対症療法が中心である。その為、迅速な医療介入が発症及び病態悪化の抑制に重要である。しかし、現在、HDP発症を予知する有効な方法は無い。従って、本研究では、HDPの早期診断につながる有用な発症予知マーカーの創出を目的とし、血清を対象としたペプチドの網羅的な解析を実施する。 予備的検討及び当該年度において、HDP発症患者および非発症患者の少数血清試料を用いて血中ペプチドを対象としたペプチドミクス解析を行った。HDP血清で増減するいくつかのペプチド部分配列を同定した。いくつかの部分配列について、有意差検定と由来タンパク質の同定を行った結果、配列1:VEVEQKと配列2:GLGCGKは、HDP血清において有意に増加し、血液凝固第V因子の一部であった。しかし、第V因子の配列1と2以外の他の部分配列では有意な増加を示さなかった。よって、研究計画の一部を変更し、解析対象をペプチドのみならず、血中の遊離アミノ酸および低分子化合物に拡大した。また、定量分析はアイソバリックタグを用いて、タグの付加された部分配列を比較解析するが、上記の結果よりタグの付加部位の異なるタグの必要性が生じた。 以上より、当該年度において、HDP血清中で有意に増加するタンパク質の部分配列、配列1: VEVEQK、配列2: GLGCGKを同定し、これらは血液凝固第V因子の部分配列であることを明らかにした。しかし、第V因子の他の部分配列では有意な増加を示さなかった。分析対象拡大の為、遊離アミノ酸分析とメタボロミクス解析の条件検討を行った。加えて、定量分析用アイソバリックタグの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在、研究の進捗状況は、遅れている。本研究計画おいて、ペプチドミクス解析及びプロテオミクス解析は、必要不可欠な研究手法であり、研究の中心的な解析を担っている。質量分析計は、そのペプチドミクス解析及びプロテオミクス解析の中核をなす分析装置である。 当該年度において、質量分析計のイオン導入部の電圧コントロールを担う基盤に不具合が生じ、試料イオンの導入が不安定な状態を経て不可能となり、基盤交換修理が必要となった。メーカーに修理依頼を要請したが、昨今の半導体不足の社会情勢の為、メーカーの部品調達に大幅な遅れが生じた。 よって、本研究計画の中心的な装置である質量分析計の上記不調により、不調原因の特定およびメーカーの部品調達に、非常に多くの時間を有し、質量分析計が使用可能となるまでに長期間を有し、研究計画に予期せぬ大きな遅延が生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
概ね研究画調書に則って、今後も研究を遂行予定であるが、「研究実績の概要」に記載したように、当初の解析対象であった血中ペプチドのみならず、血中のアミノ酸および低分子化合物も研究対象とする必要性が生じた為、アミノ酸および低分子化合物も解析対象とする。 また、「現在までの進捗状況」に記載したように、分析装置の不調により、研究の進捗状況に遅れが生じている。現在、装置は安定的に稼働し、研究計画は遂行可能であるが、研究協力者とより綿密な打ち合わせを行い、協力を仰ぎ、当初の研究計画の進捗予定に可能な限り合致させる。加えて、研究進捗に遅れを生じさせているペプチドミクス解析について、研究代表者がより注力し、迅速な研究遂行を目指す
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」に記載のように、当該年度において、質量分析計のイオン導入部の電圧コントロールを担う基盤に不具合が生じ、試料イオンの導入が不可能となり、基盤交換修理が必要となった。メーカーに修理依頼を要請したが、昨今の半導体不足の社会情勢の為、メーカーの部品調達に大幅な遅れが生じた。よって、本研究計画の中心的な装置である質量分析計の修理までに、非常に多くの時間を有し、質量分析計が使用可能となるまでに長期間を有し、研究計画に予期せぬ大きな遅延が生じてしまった。その為、当該年度に使用予定であった消耗品、特に高額である比較定量分析に用いるアイソバリックタグの購入等を控えた。また、参加学会がオンライン開催であったため旅費等に差異が生じた。 現在までに、質量分析装置の修理が完了されている為、本年度に実施予定であった研究計画を次年度以降に実施する。その実施に伴い、本年度に差異が生じた使用額を用いる。特に使用計画の主となるのが比較定量分析用アイソバリックタグである。また、「今後の研究の推進方策」にも記したが、比較定量分析用アイソバリックタグの使用量の増加の可能性がある。
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