研究課題/領域番号 |
21K06825
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
平崎 正孝 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10522154)
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研究分担者 |
藤野 節 帝京大学, 医学部, 教授 (70365203)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Mbd3 / Epi幹細胞 / 中胚葉 / Brachyury遺伝子 |
研究実績の概要 |
Mbd3が欠失したmES細胞は、分化刺激を与えても未分化状態を維持し続ける。未分化状態での生体移植は奇形腫の要因になる事から、代表者はMbd3によるmES細胞への分化多能性の賦与機構を解明して来た。マウス着床後胚から樹立されたEpi幹細胞は、mES細胞(Naive型)よりもヒトES細胞(Primed型)との多くの類似点から、同型と区分されている。Primed型幹細胞においてもMbd3の機能解明を行なった結果、Mbd3はNaive型とPrimed型で役割及び分子作用機序が大きく異なっている事を示唆する先行データを得た。本研究では、Mbd3によるPrimed型多能性幹細胞の維持機構の解明を目指す。Primed型多能性幹細胞におけるMbd3の機能解析はほとんど報告がなされていなかった。そこで、Epi幹細胞におけるMbd3の機能を解明する為に、Mbd3欠失Epi幹細胞の表現型を調べた。ドキシサイクリン(Dox) の添加によってMbd3の発現を完全に消失できるMbd3欠失mES細胞を作製後、Mbd3 の発現を維持しつつEpi幹細胞を樹立した。Doxの添加によりMbd3の発現を消去したところ、幹細胞性が維持できず、分化することが示唆された。そこで、自動的な分化ではなく、三胚葉それぞれにプログラムされた分化を誘導したところ、Mbd3欠失Epi幹細胞は、内胚葉と外胚葉には分化できないが、中胚葉へ特異的に分化する事が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度において計画した、hiPS細胞におけるMbd3のノックダウン、または強制発現による中胚葉への分化効率を調べるが、滞っている。 hiPS細胞におけるMbd3のノックダウン効率が悪く、分化効率の差を調べるに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
Mbd3欠失Epi幹細胞の方が野生型株よりも、Brachyury遺伝子の発現が誘導される結果から、中胚葉への分化時にMbd3の抑制が示唆された。しかし野生型Epi幹細胞を中胚葉へ分化させても、Mbd3遺伝子の発現量に減少は見られなかった。この事から、Mbd3は遺伝子発現レベルで抑制を受けている可能性は低いと考えた。Mbd3タンパク質は、hES細胞でリン酸化されている事が報告されている。そこで、2023年度の研究課題は、Mbd3の推定的リン酸化部位を、グルタミン酸やアスパラギン酸に改変する事で、リン酸化模倣型変異体を作製する。このMbd3リン酸化模倣型変異体をMbd3欠失Epi幹細胞へ導入後、中胚葉へ分化誘導しBrachyury遺伝子の発現変化を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
一番大きな理由は、アメリカで開催される予定であったISSCR(International Society for Stem Cell Research)に、コロナ禍の影響で参加できなかった。 次年度以降に、コロナ禍が治まった暁には、参加し論文執筆時の参考を得たい。
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