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2021 年度 実施状況報告書

コリンプラスマローゲンの生合成経路と生理機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06839
研究機関九州大学

研究代表者

本庄 雅則  九州大学, 医学研究院, 准教授 (90372747)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードコリンプラスマローゲン / エーテル型リン脂質 / 心臓 / 生合成
研究実績の概要

複数の細胞株のエタノールアミンおよびコリンプラスマローゲンの含量を測定し、コリンプラスマローゲンを多く合成する細胞株を見いだした。当該細胞株におけるプラスマローゲン合成遺伝子の発現抑制は、エタノールアミン型とコリン型の両プラスマローゲンの発現を低下させた。また、エタノールアミンプラスマローゲンの誘導体を投与することによりコリンプラスマローゲンの合成が増加するとの知見を得た。これらの知見は、これまでのin vitro実験の結果に基づき提唱されているエタノールアミンプラスマローゲンを前駆体とするコリンプラスマローゲンの合成経路を支持する結果であった。続いて、さまざまなホスホリパーゼを対象とし、コリンプラスマローゲン合成を担う酵素であるのかを検証した。そのため、阻害剤の投与あるいは標的酵素の発現抑制によって候補と考えられるホスホリパーゼの機能を障害し、コリンプラスマローゲンの合成量を検証した。しかしながら、候補と考えたいずれのホスホリパーゼもコリンプラスマローゲン合成に関わるとの結論を導き出す結果は得られなかった。
コリンプラスマローゲンを多く発現する細胞株においてプラスマローゲン合成遺伝子の発現抑制による細胞機能障害を見いだし、コリンプラスマローゲンの生理機能の解明に向けた進展が見られた。また、ウシ心筋に由来するコリンプラスマローゲンの抽出・精製に成功し、コリンプラスマローゲンを選択的に増加させる手法の開発にも成功したと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コリンプラスマローゲンの生合成経路および生理機能解明に必須なコリンプラスマローゲンを多く合成する細胞株を見いだした。加えて、コリンプラスマローゲンの抽出・精製法の確立、細胞株に対するコリンプラスマローゲン増加法の確立など、実験材料や実験方法を新たに開発し、コリンプラスマローゲンのみを増加させる準備が整った。また、プラスマローゲンの合成阻害は、コリンプラスマローゲンを多く合成する細胞株の細胞機能を障害するとの結果を得た。このようにコリンプラスマローゲンの機能解明に必須な技術開発において大きく前進し、コリンプラスマローゲンの生理機能の解明の手掛かりとなる新たな知見を得たことからおおむね順調と判断した

今後の研究の推進方策

エタノールアミンプラスマローゲンからコリンプラスマローゲンを合成する酵素の同定を継続して試みる。そのため、in vitro実験の結果から提唱されている候補酵素の関与をin vivoでも検証し、生理的条件においてコリンプラスマローゲンの合成に関わる酵素を同定する。
コリンプラスマローゲン合成酵素の発現抑制や精製コリンプラスマローゲンの投与によってプラスマローゲン合成障害で観察された細胞機能障害が回復されるのかを検証し、コリンプラスマローゲンの生理機能を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度中に論文を投稿する計画で投稿費として準備していたが、遅延が生じ次年度に先延ばしとなった。そのため、論文投稿費用として次年度に繰り越しをおこなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 成体マウスにおけるペルオキシソーム機能欠損は記憶障害を惹起する2021

    • 著者名/発表者名
      阿部雄一, 田村茂彦, 本庄雅則, 藤木幸夫
    • 学会等名
      令和3年度日本生化学会九州支部例会
  • [図書] Medical Science Digest Vol.48 (1) 「個体におけるエーテル型リン脂質プラスマローゲンの生合成制御機構と生理機能の解明」2022

    • 著者名/発表者名
      本庄 雅則
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      ニューサイエンス社

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公開日: 2022-12-28  

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