研究課題
コリンプラスマローゲンを多く発現する細胞株のプラスマローゲン合成遺伝子の発現抑制は、細胞機能を障害するとの結果を得ている。この細胞機能障害は、ウシ心臓から抽出・精製したコリンプラスマローゲンの投与で回復されたことからコリンプラスマローゲンの生理機能の一つを解明するに至ったと考えられる成果が得られた。次に、コリンプラスマローゲンの動態と生理機能との関連性を明らかにすることを目的とした。そのため、まず、コリンプラスマローゲンの合成を促進する化合物を探索した。具体的には、候補化合物を投与した細胞におけるコリンプラスマローゲンやその前駆体と目される脂質の動態を検討した。その結果、コリンプラスマローゲンを優先的に増加させる化合物を含め、コリンプラスマローゲンを増加させる複数の化合物を見出すに至った。ついで、コリンプラスマローゲンを増加させた化合物を投与した細胞において、コリンプラスマローゲンが関与する細胞機能に着目した解析を実施し、細胞機能が亢進されるとの結果が得られた。これらの結果から、コリンプラスマローゲンの動態変化による細胞機能制御機構が示唆された。さらに、個体におけるコリンプラスマローゲンの機能解明を目的とし、コリンプラスマローゲンの合成促進能の高い化合物をマウスに投与した。その結果、マウスへの効率的な投与方法を見出すとともに、個体においても当該化合物はコリンプラスマローゲンを増加させるとの結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
精製コリンプラスマローゲン投与は細胞機能障害を回復したとの結果が得られ、コリンプラスマローゲンの生理機能の解明は大きく前進した。また、細胞や個体におけるコリンプラスマローゲンの合成を促進する化合物も、新たに発見した。このように、今年度の研究において次年度に計画している個体におけるコリンプラスマローゲンの機能解明を進めるための基盤となる結果を得られたことから、今年度の研究は、おおむね順調に進展したと判断した。
In vitro培養実験系を用い、膜タンパク質の発現や複合体構成などに着目することでコリンプラスマローゲンの作用機序を明らかにする。コリンプラスマローゲンを優先的に増加させた化合物に着目し、遺伝子発現パターンなどからコリンプラスマローゲンの生合成に関わる因子の同定を試みる。コリンプラスマローゲンが豊富に存在する組織に着目し、個体においてコリンプラスマローゲンの増加が組織の機能に与える影響を明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (2件)
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