• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

遺伝子操作マウスを用いた神経障害エステラーゼの新規機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06847
研究機関東海大学

研究代表者

木村 穣  東海大学, 総合医学研究所, 特任教授 (10146706)

研究分担者 畑中 朋美  城西大学, 薬学部, 教授 (10198749)
赤塚 尚子  東海大学, 医学部, 特定研究員 (20826317)
坂部 貢  東海大学, 医学部, 教授 (70162302)
加藤 明  東海大学, 医学部, 准教授 (70546746)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード神経障害エステラーゼ / Transgenic Mice / Gene Knockout Mice / Autophaggy / Brain Function / Purkinje / Behavior / Organophosphate
研究実績の概要

本研究の目的はヒト神経障害エステラーゼ(Neuropathy Target Esterase)をコードするPNPLA6遺伝子の生物学的機能を明らかにすることにある。この遺伝子の劣性変異疾患が知られ、Ataxiaなどの運動失調を示すことから小脳を中心とした何らの脳における機能が推定される。また一方、有機リンはこの酵素に共有結合し、末梢神経を含む種々の神経症状を引き起こす。
この遺伝子は生物種を超えて相同性高い配列が維持されていることから、遺伝子改変マウスを利用して個体レベルでの遺伝子機構解析に挑戦している。これまでのヒトNTEを全身で発現するトランスジェニックマウスおよびヒト疾患で見出される付近に変異を持つ変異マウスを得ている。前者ではフタル酸エステルを用いて皮膚等での活性の上昇を確認した。また後者では6系統のうち、まず最初の系統でOpen Fieldでの単位時間での行動距離を測定したところ、野生型よりヘテロ型変異マウスは不動時間が長く、走行距離も短いことが判明した。ホモマウスは胎生致死であることがまず確実となった。今年度は例数を増やすとともに、変異位置の異なる他の系統のマウスを凍結精子から復元することができ、4系統での解析が来年度に可能となっている。また行動に変化の見られるヘテロマウスにおいては小脳のPurkinje細胞の減少が観察されたことから、これについても遺伝子発現との関係を解析中である。ヒトNTEを発現する系統でも成長が遅い個体があることから、正常型のNTE発現でも過剰な発現は個体の成長に影響を及ぼすことが示唆された。以上の種々の表現型の解析とともに、今後復元個体を用いて多数を系統的に解析する準備が整った年度となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

飼育数の限界から今年度途中までは変異系統2系統を維持するだけで精一杯であったが、マウス凍結精子からヒトNTE発現系統を含めて3系統を復元でき、ほぼ50匹ずつの産仔を得たことは順調は進捗であった。ただしヒトNTE発現系統の雄に関しては20匹の産仔中2匹しか導入遺伝子を保持しておらず、次世代での解析が中心となることから、やや解析が遅れる系統も見込まれる。直接的な研究発表は学会レベルであるが、数題発表することができた。

今後の研究の推進方策

凍結精子から得られた個体での解析については、行動解析の他に組織科学的解析や分子生物学的解析を予定しているが、preliminaryな解析で得られた変異ヘテロマウスでのPurkinje細胞の減少はNTEが酵素としてだけではなくオートファジーなどの他の局面での機能も予測され、この点を追求していきたい。また農薬に含まれる有機リンの一つであるDDVP(ジクロルボス)などを使用した毒性メカニズム解明にも遺伝子改変マウスを利用していきたい。

次年度使用額が生じた理由

解析対象がマウスであるため、出産数などが少ないと解析のための使用試薬量等が減少する。分子生物学的解析に使用する試薬は高価なものが多く、復元マウスがかなりの個体数になるため、それらの試薬等の購入に加える必要がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Potential UV-Protective Effect of Freestanding Biodegradable Nanosheet-Based Sunscreen Preparations in XPA-Deficient Mice2022

    • 著者名/発表者名
      Hatanaka Tomomi、Ramphai Khampeeraphan、Takimoto Shun、Kanda Hiromi、Motosugi Nami、Kimura Minoru、Mabuchi Tomotaka、Oyama Midori、Takeuchi Tomoharu、Okamura Yosuke
    • 雑誌名

      Pharmaceutics

      巻: 14 ページ: 431~431

    • DOI

      10.3390/pharmaceutics14020431

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経障害エステラーゼのマウス脳における昨日2021

    • 著者名/発表者名
      木村穣、加藤明、赤塚尚子、伊藤正敏、坂部貢
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] フタル酸エステルの経費吸収におけるエステラーゼの機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      畑中朋美、大山翠、武内智春、馬淵智生、木村穰
    • 学会等名
      第29回日本臨床環境医学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 神経障害エステラーゼ活性および細胞増殖に対する有機リンの影響について2021

    • 著者名/発表者名
      加賀谷徹、本杉奈美、坂部貢、木村穣
    • 学会等名
      第29回日本臨床環境医学会学術集会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi