研究課題/領域番号 |
21K06856
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮崎 純一 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (10200156)
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研究分担者 |
田代 文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40136213) [辞退]
宮崎 早月 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60452439)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インスリンプロセシング / 異常プロインスリン分子 / 糖尿病 / 膵β細胞 / ノックアウトマウス / 耐糖能異常 |
研究実績の概要 |
膵β細胞株MIN6を用いてインスリン分泌制御に関与している候補遺伝子を探索し、見出されたTmem59l遺伝子に関し解析を行った。Tmem59lはゴルジ体、分泌顆粒に局在しており、インスリンのプロセッシングや成熟、分泌顆粒の形成や動態を制御している可能性が考えられた。生体におけるTmem59lの機能を解析するため、Tmem59lノックアウト(KO)マウスを作製したところ、マウスは見た目や妊孕性に異常はなかったが、週齢が15週を越すと、体重増加が野生型マウスより低下する傾向が見られた。KOマウスに経口糖負荷試験(OGTT)を行ったところ、15週齢では異常は見られなかったが、50週齢ではホモKO雄マウスで耐糖能の低下が認められた。血漿中インスリン、プロインスリンを測定したところ、意外なことに老齢KO雄マウスではインスリンが異常な髙値を示した。このときプロインスリン値も非常に高いものも見られ、プロセッシング異常も想定された。比較的若齢のKOマウスでもインスリン高値を示すものが見られた。これらの結果から、分泌されるインスリンにプロセシングやfoldingなどの異常が起こっている可能性が考えられた。 このインスリン異常の原因を詳細に解析するため、MIN6-Tmem59l-KOβ細胞株を樹立し、さらにこの細胞株にTmem59l発現を回復させたrescue細胞を作製し、野生型MIN6細胞との3群間でグルコースをはじめとする刺激に対するインスリン分泌応答を比較検討するとともに、インスリン、プロインスリンの含有量を調べた。さらに分泌されたインスリンが正常な単量体になっているのか、あるいは異常な多量体が多いのかを調べるために、非還元下と還元下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行っている。今後、これらの結果を元に、Tmem59l KOによるインスリン分子の異常を追及する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックアウトマウスの解析に関しては昨年度に引き続き、動物実験施設の改修のために使用できるマウスを大幅に削減せざるを得ず、やや遅れを生じている。 一方、Tmem59l-KO MIN6細胞を用いたin vitroの解析に関しては、野生型、ノックアウト、rescue細胞の3群間において、予定していた解析を順調に進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
ホモ、ヘテロKOマウスに関しては、週齢を追って、共焦点レーザー顕微鏡を用いた膵組織の免疫組織学的解析を行う。特にインスリン、プロインスリンの免疫染色を行い、異常の有無を調べる。老齢ホモとヘテロKOマウスから膵島を単離して、インスリンとプロインスリン含量についても測定する。ホモ、ヘテロKOマウスについて高脂肪食負荷を行い、血糖値を経時的に測定する。経口糖負荷試験(OGTT)を行い、血糖、インスリン、プロインスリンの測定を行う。 Tmem59l-KO MIN6細胞を用いた解析に関しては引き続き、野生型、KO、rescue細胞の3群間において、分泌されるインスリン、プロインスリンの構造の異常に関し、還元あるいは非還元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により詳しく解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスを使用した解析に関しては、動物実験施設の改修のために使用できるマウスを大幅に削減せざるを得ず、予定していた実験を次年度に繰り延べる必要が出たため。
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