研究課題/領域番号 |
21K06858
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
杉本 大樹 自治医科大学, 医学部, 助教 (70515866)
|
研究分担者 |
武田 憲彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (40422307)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | マクロファージ / STAT6 / マウス |
研究実績の概要 |
本研究では、マクロファージにおけるIL4-STAT6-Arg1シグナル系をモデルとして、温度依存的な炎症終息経路(温度依存的NO産生、細胞内代謝調節)の分子実態を明らかにすること、さらに温度依存的NO産生が病態において果たしている役割を明らかにすることを目的とする。低温環境において、IL4刺激時にリン酸化STAT6とArginase1発現が著明に増加する。IL4-STAT6-Arg1シグナル系を制御する候補としてE3 ligase Cbl-bに注目し、温度依存的なCbl-bの発現変化も確認していた。 本年度は、1)STAT6標的分子(Cbl-b)の発現制御機構の解析と2)IL4-STAT6-Arg1シグナル活性化の責任分子の同定を行った。1)IL4刺激時のCbl-b遺伝子発現の増加が、野生型マウスのマクロファージに対するSTAT6阻害薬(AS1517499)処理、そしてSTAT6ノックアウトマウスのマクロファージ細胞において、抑制されることをリアルタイムPCRによって明らかにした。Cbl-bはSTAT6依存的に発現が制御された。2)マクロファージ においてRNAiによるCbl-bのノックダウンを行った。Cbl-bのノックダウンによってIL4刺激時のArginase1の発現抑制はみられなかった。IL4刺激時のArginase1の発現増加を確認するため単球・マクロファ ージ系特異的なCbl-bのノックアウトマウスを作成した。ノックダウンと同様にL4刺激時のArginase1の発現を検証する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のうち、Cbl-bの発現がSTAT6依存的であることを、マクロファージに対するSTAT6阻害剤処理とSTAT6ノックアウトマウスのマクロファージを用いて予定通り検証した。さらにIL4刺激時のリン酸化STAT6とArginase1の発現増加を確認するため単球・マクロファ ージ系特異的なCbl-bのノックアウトを予定通り作成した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、単球・マクロファ ージ系特異的(Lyz2-Creマウス)なCbl-bのノックアウトマウスを用い、 IL4刺激時のリン酸化STAT6とArginase1の発現増加を確認する。さらに温度可変型細胞代謝解析システムを用いて、低温環境が マクロファージ細胞内代謝(脂肪酸代謝とミトコンドリア活性) に与える影響をリアルタイムに計測する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究は、物品費購入額が、若干少額であったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、物品及び人件費として適切に使用する予定である。
|