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2022 年度 実施状況報告書

神経変性疾患患者末梢血α-synucleinの翻訳後修飾の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06861
研究機関東邦大学

研究代表者

松本 紋子  東邦大学, 理学部, 准教授 (60444519)

研究分担者 榊原 隆次  東邦大学, 医学部, 教授 (00282476)
田中 知明  千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードαシヌクレイン / パーキンソン病 / レビー小体型認知症 / シヌクレイノパチー / 神経変性疾患 / 翻訳後修飾
研究実績の概要

パーキンソン病の特徴的病理構造物のレビー小体の主要構成タンパク質であるαシヌクレインは、神経細胞だけでなく赤血球にも高発現しているが、赤血球での機能は不明である。本研究は中枢神経の病変を末梢血で捉えることが可能かという学術的な問いを明らかにすることを目的に、神経変性疾患患者の末梢血を用いて、凝集体形成の核となるαシヌクレインの翻訳後修飾を解明する。
健常者赤血球αシヌクレインの翻訳後修飾について液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)を用いて解析したところ、アセチル化、リン酸化、ジグリシル化、糖化の翻訳後修飾が検出された。このうち、アセチル化、ジグリシル化、糖化はいずれもリジン残基における翻訳後修飾であり、LC-MS/MSで解析した多くのペプチドから翻訳後修飾を受けたリジン残基が検出されたことより、赤血球αシヌクレインは膜結合やオリゴマー形成に関与するリジン残基に翻訳後修飾を受けやすいことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

健常者赤血球αシヌクレインの翻訳後修飾について液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)を用いて解析したところ、赤血球中αシヌクレインでは報告例のない翻訳後修飾も含め、アセチル化、リン酸化、ジグリシル化、糖化が検出され、赤血球αシヌクレインは膜結合やオリゴマー形成に関与するリジン残基に翻訳後修飾を受けやすいことが示唆された。この成果は学術誌に掲載されている。また、翻訳後修飾の中で最も多く存在している修飾型αシヌクレインの赤血球中タンパク質量を、神経変性疾患であるパーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病と健常者で定量ウエスタンブロッティングで解析して比較したところ、レビー小体型認知症で顕著に減少していることがわかった。この成果は学術誌掲載まで至っていないが、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

血漿中に放出される細胞外小胞に含まれるαシヌクレイン量や分子形態について、健常者ならびにパーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病患者の検体を用いて解析する。

次年度使用額が生じた理由

研究成果をまとめた学術論文を投稿し、掲載料を確保していたが、2022年度中に掲載決定に至らなかったため、次年度使用額が生じた。未使用額については、次年度請求額とあわせて、学術論文掲載料、物品費、人件費謝金に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Post-translational modification of lysine residues in erythrocyte α-synuclein.2023

    • 著者名/発表者名
      Amagai R, Yoshioka S, Otomo R, Nagano H, Hashimoto N, Sakakibara R, Tanaka T, Okado-Matsumoto A.
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 173 ページ: 177-184

    • DOI

      10.1093/jb/mvac100.

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経変性疾患のバイオマーカーとしての赤血球由来細胞外小胞中α-synucleinの解析2022

    • 著者名/発表者名
      天谷亮介、細井龍之介、吉岡さくら、河井貴行、田中知明、榊原隆次、松本紋子
    • 学会等名
      第95回日本生化学大会

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公開日: 2023-12-25  

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