研究課題/領域番号 |
21K06872
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
上 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80415588)
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研究分担者 |
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
五條 理志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90316745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | FRET / 阻害剤 / 多検体解析 / ウイルス由来重合タンパク質 |
研究実績の概要 |
RNAウイルスSARS-CoV-2は世界中で大流行し、治療薬の開発競争が激化している。治療薬のターゲット分子はウイルスの表面抗原やRNAポリメラーゼが多く、細胞内で増加したウイルスゲノムRNA除去を目指した治療薬開発は報告がない。このゲノムRNAはNucleocapsid protein (N protein)と結合、さらにN protein同士で重合することで、細胞内で安定化する。本研究はSARS-CoV-2のN proteinの重合を阻害する低分子化合物をハイスループットシステムにて探索し、重合阻害の有効性をvitroにて証明することを目的としている。そこで我々は重合化を評価できるFRETシステムとイメージングサイトメータを用いたシステムを設計・構築した。このシステムを用いて、重合阻害を可能にする低分子化合物を探索し、そのゲノムRNAの安定性をvitroにて解析する。これらの結果と解析システムの構築はN proteinをもつ数多くのウイルスに対する新たな治療薬の開発の先駆的な手法となりえる。 今年度はN proteinをクローニングし、EGFP、mCherry蛍光タンパク質と結合させた。結合の際、蛍光タンパク質が目的の高次構造を維持するようにRigid linkerと呼ばれる配列を蛍光タンパク質とN proteinのC-terminal domainの間に配置した。これらの配列をCAGGSプロモータプラスミドに挿入し、それぞれの蛍光タンパク質の発現を確認した。これらのプラスミドをHEK293FT細胞に導入し、In Cell Analyzer2200にて撮像し、FRETを評価した。この結果、安定したデータが解析できなかったため、細胞クローニングによる発現量が安定化した細胞株を利用した系を構築し、薬剤評価を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デザインした遺伝子を搭載したプラスミドは作製できたものの、FRETの安定したデータの取得は困難であった。理由は強制発現系による蛍光タンパク質量は細胞間で異なるため、安定しない。そこでレトロウイルスを用いて安定発現株を樹立し、シングルセルクローニングを行った。取得した細胞はIn Cell Analyzer2200にて撮像し、FRETのポジティブコントロール、ネガティブコントロール株と比較している。
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今後の研究の推進方策 |
今回、構築した細胞株にて、N proteinの重合阻害を促進しうる候補化合物と反応させる。これらの化合物は大分大学より供与頂く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想と異なる結果が出たため、目的物資の購入を変更し、新計画に利用する物品を購入した。具体的には遺伝子導入試薬と合成遺伝子である。
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