研究課題
近年、NF-kBシグナルや細胞死の新たな制御因子として直鎖状ユビキチン鎖が注目を集めている。申請者の所属研究室では、直鎖状ユビキチン鎖を産生する唯一 のユビキチンリガーゼ(E3)複合体としてLUBACを同定し、炎症応答の制御、各種関連疾患の発症に至る一連の研究を世界に先駆けて報告して来た。本研究では、 申請者が独自に見出した新規LUBAC関連因子(OTUD1、DZIP3)に着目し、それらがLUBACと協調してNF-kBシグナルや細胞死を制御する分子基盤を解明すると共に、 その破綻がどのような疾患の発症に繋がるかを明らかにする。昨年度から引き続き解析を進め、OTUD1が炎症、酸化ストレス応答、活性酸素に関連した細胞死経路を制御し、その破綻が急性肝炎や炎症性腸疾患を含む様々な炎症性疾患と密接に関連することを明らかにし、原著論文として発表した(Cell Death Dis. 2022)。さらにその後の解析から、OTUD1がRIPK1依存的な細胞死(RDA)を制御する可能性を見出し、現在、その分子機序の解明と動物個体レベルでの生理意義、炎症性疾患との関連性について解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
LUBAC関連因子として新たに見出した脱ユビキチン化酵素であるOTUD1について、NF-kBや細胞死、酸化ストレス制御など多様な生理機能を、細胞及び動物モデルで示し、原著論文(Cell Death Dis. 2022)として発表することができた。さらに、それらの結果を総括する総説論文(Antioxidants. 2023)を発表するなど、本研究は概ね順調に進展していると考える。
OTUD1がRIPK1依存的な細胞死(RDA)を制御する分子機序の解明と動物個体レベルでの生理意義、炎症性疾患との関連性を明らかにする。また、LUBAC関連性E3として見出したDZIP3による炎症制御機構について細胞・動物解析を進めると共に、本研究にて新たに見出したIRF3誘導性細胞死(RIPA)制御因子についても、細胞死を制御する分子機構や炎症性疾患との関連性を細胞及びマウス病態モデル解析により明らかにしていく。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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