研究課題/領域番号 |
21K06874
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
古山 和道 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80280874)
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研究分担者 |
久保田 美子 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (30260102)
金子 桐子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10545784)
鈴木 亘 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90610395)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 赤芽球 / 遺伝性鉄芽球性貧血 / モデル細胞 / 環状鉄芽球 / 細胞死 / ferroptosis |
研究実績の概要 |
我々が樹立したHA2low細胞は非腫瘍系培養細胞であるHUDEP2細胞のALAS2遺伝子に変異を導入した世界初の遺伝性鉄芽球性貧血のモデル細胞で、分化誘導することにより環状鉄芽球をin vitroで観察できる。しかし野生型のHUDEP2細胞もHA2low細胞も分化誘導を行うと多くの細胞が細胞死するため、細胞死の原因の比較が困難であった。 HUDEP2細胞はパピローマウイルス由来のタンパク質E6/E7をdoxycycline (DOX)誘導性に発現させ、かつStem Cell Factor (SCF)存在下で培養することにより赤芽球の形質を保ちながら増殖し、DOXおよびSCFを培養液中から除去することにより赤芽球から赤血球への分化が誘導され、HA2low細胞では環状鉄芽球が観察される。このため、細胞死を抑制しながらより多くの環状鉄芽球が観察できる条件を明らかにしようとしていたところ、昨年、国内の別グループから、我々とは異なるALAS2遺伝子の機能欠失型変異をHUDEP2細胞に導入してモデル細胞を樹立し、DOXを添加しながらSCFを除くことで環状鉄芽球の出現効率を上昇させることが可能であるとの報告がなされた。このため、同論文で報告された分化誘導条件がHA2low細胞に対しても有用かどうかを検討したところ、分化誘導時にDOXの添加を継続することで、野生型およびHA2low細胞でも細胞死を抑制し、HA2low細胞では環状鉄芽球の出現頻度が上昇することが明らかになった。さらに、同条件で比較するとHA2low細胞の方が野生型に比べて細胞死を起こしやすい傾向が認められ、HA2low細胞でのみferroptosis(鉄過剰に起因する細胞死)の阻害剤により細胞死が部分的に抑制されたことから、HA2low細胞の過剰な細胞死にはferroptosisが関与する可能性が高いものと思われた。
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