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2022 年度 実施状況報告書

臓器特異性転移のメカニズムの解明と新規分子標的療法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K06880
研究機関秋田大学

研究代表者

吉岡 年明  秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80302264)

研究分担者 南條 博  秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (70250892)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード臓器特異性転移 / 高転移性がん細胞
研究実績の概要

臓器特異性転移を決定する因子についての解明を行うため, 以下の目的のもと検討する.
1) 高肝転移性がん細胞の親株のヒト大腸がん細胞を用いた, 高肺転移性がん細胞, 高リンパ行性転移がん細胞, 高腹膜播種性転移がん細胞の樹立. 2) 親株がん細胞と各々の高転移性がん細胞を比較検討して臓器特異性転移を決定する因子についての解明. 3) 解明した臓器特異性転移のメカニズムに関与する分子について, ヒト手術標本を用いた臨床病理的な検討および新規の分子標的療法の可能性の検討.
令和4年度の実績としては, 目的1)の高肺転移がん細胞の樹立のため, 親株がん細胞をSCIDマウスの尾静脈から注入して肺転移巣を作製する実験を行った. 22匹のマウスに肺転移は形成されず, 目的の細胞の作製には至っていない. 今後, さらに尾静脈注入を行い肺転移形成の有無を判断するが, 形成しない場合は, 別の大腸がん細胞を用いて検討を進める.
高腹膜播種性転移がん細胞の樹立のため, SCIDマウスの腹腔内に上述の親株細胞を注入して腹腔内腫瘍巣を形成させ, これらを培養系に戻して増殖させた後, 腹腔内注入を行う操作を3回行った. 腫瘍形成率は100%で, 播種性転移の回数を重ねるごとに転移結節は小さくなり, 腹腔内に多数の結節を形成するようになった. もう1回, 合計4回の腹腔内注入を繰り返して高腹膜播種性転移がん細胞を樹立する予定である. また, 高リンパ行性転移がん細胞の作製には至っていない.
目的2)については, 8月頃までに高腹膜播種性転移がん細胞が樹立できるので, 親株がん細胞, および同じ親株細胞から作製した高肝転移性がん細胞の3種類に対してDNAマイクロアレイを行い, それぞれの転移に関係する遺伝子を検討する.
目的3)については, まだ高転移性がん細胞の樹立には至っていないため検討していない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

目的1)の高肺転移がん細胞の樹立のため, 親株がん細胞をSCIDマウスの尾静脈から注入して肺転移巣を作製する実験を行ったが, 22匹のマウスを用いたが肺転移を全く形成せず, 目的の細胞の作製には至っていない.
高腹膜播種性転移がん細胞の樹立のため, SCIDマウスの腹腔内に上述の親株がん細胞を注入して腹腔内腫瘍巣を形成させ, これらを培養系に戻して増殖させた後, 腹腔内注入を行う操作を3回行った. 腫瘍形成率は100%で, 腹膜播種性転移の回数を重ねるごとに転移結節は小さくなり, 腹腔内に多数の結節を形成するようになるなど, 一般的な腹膜播種性転移の性質を示すようになってきている. また, 高リンパ行性転移がん細胞の作製には至っていない.
研究の目的1)の高転移性がん細胞は, 高肝転移性がん細胞は樹立しており, もう少しで高腹膜播種性転移がん細胞の樹立が見込まれるため, これらの細胞に対する目的2)の実施と, それに続く目的3)の実施は可能であるが, それ以外の高転移性がん細胞の樹立は達成されていないため, 進捗状況はやや遅れていると判断した.

今後の研究の推進方策

高肺転移がん細胞の樹立のため, 今後, さらに親株がん細胞のSCIDマウスの尾静脈注入を追加して, 肺転移形成の有無を判断するが, 形成しない場合は, 肺転移を形成する別の大腸がん細胞を用いて検討を進める.
高腹膜播種性転移がん細胞は, もう1回, 合計4回の腹腔内注入を繰り返して樹立する予定である. また, 高リンパ行性転移がん細胞の作製には未だ至っていないため, 作製に向けて実施する予定である.
目的2)については, 8月頃までに高腹膜播種性転移がん細胞が樹立できるので, 親株がん細胞, および同じ親株がん細胞から作製した高肝転移性がん細胞の3種類に対してDNAマイクロアレイを行い, それぞれの転移に関係する遺伝子を検討する. それにより, 引き続き目的3)の実施が可能になると考える.

次年度使用額が生じた理由

研究の目的1)の高転移がん細胞の樹立まで, まだ何回かの転移を繰り返す必要があり, そのために使用するSCIDマウスを含めた, 樹立のための予算が未使用で残っている. また, 樹立後の目的2)の達成のためのDNAマイクロアレイを行う予算も残っているなどの理由により次年度に使用額が生じた. 今後, 目的1), 2)および3)の達成に向けて研究を進めて行くので, 予算として計上されていくと考える.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Saturated fatty acid promotes prostate cancer development with tumor infiltrating regulatory T cell alteration in a Pten-deficient mouse model.2022

    • 著者名/発表者名
      Sato H., Narita S., Takahashi Y., Ishida M., Kashima S., Yamamoto R., Koizumi A., Nara T., Huang M., Numakura K., Saito M., Yoshioka T., Habuchi T.
    • 学会等名
      The 117th Annual Meeting of the American Urological Association
    • 国際学会
  • [学会発表] Specific Gut Microbial Environment in Lard Diet-Induced Prostate Cancer Development and Progression.2022

    • 著者名/発表者名
      Sato H., Narita S., Takahashi Y., Ishida M., Kashima S., Yamamoto R., Koizumi A., Nara T., Huang M., Numakura K., Saito M., Yoshioka T., Habuchi T.
    • 学会等名
      第81回日本癌学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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