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2023 年度 実施状況報告書

臓器特異性転移のメカニズムの解明と新規分子標的療法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K06880
研究機関秋田大学

研究代表者

吉岡 年明  秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80302264)

研究分担者 南條 博  秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (70250892)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード臓器特異性転移 / 高転移性がん細胞
研究実績の概要

本研究では, 臓器特異性転移を決定する因子についての解明を行うため, 1) 既に樹立している高肝転移性がん細胞を作製した親株のヒト大腸がん細胞を用いた, 高肺転移性がん細胞, 高リンパ行性転移がん細胞, 高腹膜播種性転移がん細胞の樹立. 2) 親株大腸がん細胞と各々の高転移性がん細胞を比較検討して臓器特異性転移を決定する因子についての解明. 3) 解明した臓器特異性転移のメカニズムに関与する分子について, ヒト手術標本を用いた臨床病理的な検討および新規の分子標的療法の可能性の検討を目的とする.
令和5年度の実績としては, 目的1)として腹膜播種性転移を繰り返し, 有意に播種性転移結節数が増加し、かつ, 有意に転移結節の大きさが低下した高腹膜播種性転移がん細胞を樹立することができた. この細胞は腹膜播種性転移に特化した細胞であり, 肺転移や肝転移を形成しない特徴を示す.
高肺転移性がん細胞の樹立のため, 親株がん細胞をSCIDマウスの尾静脈から注入して肺転移巣を作製する実験を行ったが, 30匹のマウスに肺転移は形成されずにがん細胞は全身へ広がり腫瘍を形成した. その中で腰椎へ転移するがん細胞を認めたため, これを採取して培養細胞化し, 腰椎転移を繰り返して高骨転移性がん細胞を樹立することができた. また, リンパ節へ転移するがん細胞を認めたため, これを繰り返して高リンパ行性転移癌細胞の作製を試みている.
目的2)については, 親株大腸がん細胞, 高腹膜播種性転移がん細胞, および同じ親株細胞から作製した高肝転移性がん細胞の3種類のがん細胞に対してDNAマイクロアレイを行い, 各々の臓器特異性転移を決定する因子について検討中である.
目的3)については, それぞれの転移に関する分子を同定していないためまだ検討していない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

目的1)において, 高腹膜播種性転移がん細胞, 高骨転移性がん細胞を新たに樹立し, 高リンパ行性転移がん細胞を作製中であるが, 高肺転移性がん細胞の樹立には至っていない.
目的2)については, 親株大腸がん細胞, 高腹膜播種性転移がん細胞, および同じ親株大腸がん細胞から樹立した高肝転移性がん細胞の3種類に対して, DNAマイクロアレイを行い検討中であり, これらの転移に特徴的な分子の検討を行なっているが, まだ各々の臓器特異性転移を決定する因子の同定には至っていない.
目的3)については, それぞれの転移に関する分子を同定していないためまだ検討していない.
いくつかの目的は達成しているが, まだ達成していないものもあるため, 進捗状況はやや遅れていると判断した.

今後の研究の推進方策

目的1)において, 作製中の高リンパ行性転移がん細胞の樹立を進める.
現在行なっている目的2)における, 親株大腸がん細胞, 高腹膜播種性転移がん細胞, および同じ親株大腸がん細胞から樹立した高肝転移性がん細胞の3種類に対するDNAマイクロアレイの検討を進めて, 腹膜播種性転移, 肝転移の臓器特異性転移に関与する分子の同定に努力する.
それらの分子の同定に至った場合は、目的3)におけるヒト手術標本を用いた臨床病理的な検討を進めて行く.

次年度使用額が生じた理由

研究の目的1)の高転移性がん細胞の樹立まで, まだ何回かの転移を繰り返す必要があり, そのために使用するSCIDマウスを含めた樹立のための予算が未使用で残っているなどの理由により次年度に使用額が生じた. 今後, 目的1), 2)および3)の達成に向けて研究を進めて行くので, 予算として計上されていくと考える.

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公開日: 2024-12-25  

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