研究課題
【背景】節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)は、Epstein-Barr virus陽性のT/NK細胞性リンパ腫であり、様々な臨床経過を示す。ENKTLにおいて、予後を層別化する有用な病理学的バイオマーカーは確立されていない。我々は多施設共同研究を実施し、組織学的に評価可能な予後因子の同定を試みた。【方法】ENKTL(n=71)を対象に、ターゲットシークエンスによる変異プロファイル、免疫組織化学によるMYC、Tyr705-リン酸化(p-)STAT3、CD30の発現を評価した。【結果】最も頻度の高い変異は、STAT3(27%)、JAK3(4%)、KMT2D(19%)、TP53(13%)、BCOR(10%)およびDDX3X(7%)であった。免疫組織化学(IHC)により、STAT3変異を有するENKTLは、pSTAT3およびCD30の高発現を示すことが明らかになった。BCOR変異は、MYCの高発現と関連していた。全コホートを対象とした単変量解析では、ステージ(II、III、IV)、BCOR変異、TP53変異、高MYC発現(40%以上の陽性腫瘍細胞と定義)が、全生存期間(OS)の短縮と関連していることが示された。多変量解析では、ステージ(II、III、IV)と高MYC発現が独立した予後不良因子であることが確認された。また、アントラサイクリン(AC)不使用の化学療法および/または放射線療法(RT)により治癒を目指した患者のサブグループ解析では、MYC高発現ではなく、BCORが独立した予後不良因子であった。【結論】活性化 STAT3 変異は ENKTLで高頻度に存在し、CD30 発現の増加と関連している。MYCの過剰発現は、少なくとも部分的には、BCOR変異と関連している。このBCORとMYCの関連は、ENKTL患者のリスク層別化においてMYCのIHCが有用である可能性を示唆する。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子異常,免疫組織化学により一定の知見が得られ、その結果は国際学術誌に投稿し受理された。
DNAとともに抽出したRNAを利用して遺伝子発現解析につなげたい。また、エピゲノム解析と組み合わせて、エピゲノム・遺伝子変異・遺伝子発現を統合したデータセットを構築したい。
想定よりも安価にシークエンス解析ができたため.次年度におけるRNAシークエンスに充てる計画である.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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