研究課題/領域番号 |
21K06885
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松下 倫子 鳥取大学, 医学部, 助教 (70642198)
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研究分担者 |
林 一彦 鳥取大学, 医学部, 特任教授 (30180962) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メルケル細胞癌 / メルケル細胞ポリオーマウイルス / RNA-seq |
研究実績の概要 |
皮膚悪性腫瘍のメルケル細胞癌(MCC)は、約80%でメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)により発癌する。申請者は、MCCの腫瘍病態を遺伝子変異、遺伝子発現前のエピゲノム異常、タンパク発現・修飾異常にいたる一連の流れを体系的に明らかにしてきた。本年度は、腫瘍内免疫微小環境の状態とRNA代謝酵素の発現状態について比較検討を行った。免疫環境については、PD-L1、TIGIT-CD155免疫チェックポイント経路、regT細胞の転写因子であるFOXP3に着目した。一方、RNA代謝酵素については、METTL3、METTL14、ALKBH5、WTAPを免疫染色を用いてウイルスの有無で発現の際について評価した。 その結果、METLL3発現がウイルスの有無で差異があったが、そのほかについては、差異がなかった。またMETTL3高発現が予後不良因子であった。また、本来免疫細胞に発現するTIGITが異常発現を起こしていること、PD-L1発現が腫瘍中心部よりも辺縁部で多く、CD8陽性リンパ球、FOXP3についても同様であることを見出した。さらに、FOXP3発現の免疫細胞は予後不良因子であった。この結果の一部を論文発表を行った。 さらに、MCC細胞株を用いて、METTL3、ALKBH5、YTHDF1、YTHDF2、WTAP、FTOをsiRNAを用いてKDを行いRNA-seqおよび増殖能試験を計画した。その結果、METTL3のRNA-seqにおけるPCA解析では、PC3成分でMETTL3siの有無で分離された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検証するべき細胞株がウイルスの陽性の有無で3種類ずつあり、浮遊系、接着系の違いでsi条件の調整および増殖能試験の条件検討に時間を要した。 そのため、RNA-seqライブラリー作成に時間を要し、シークエンス結果の解析が年度内に間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定よりも進まなかったため、補助事業期間の延長を行った。 既に、RNA-seqについては、大部分でデータが得られたため、次年度はこの解析を行う。さらに、完了していないsiRNA実験(YTHDF1、FTO)と免疫染色を完了させ、論文投稿を行う。 完了していないRNA-seqデータの一部は、公開RNA-seqデータが発表されたため、これを用いて補完を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の条件検討に時間を要したため、補助事業期間の延長を行った。引き続き当該研究課題を進めていく。
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