研究課題/領域番号 |
21K06890
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
村田 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10404592)
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研究分担者 |
高澤 啓 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00593021)
廣橋 良彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30516901)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PVR / 頭頸部がん / 扁平上皮癌 / 発現欠損株 / がん悪性化 |
研究実績の概要 |
Poliovirus receptor (PVR/NECL5)は、上皮細胞では、細胞間接着分子Nectinファミリー NECL5 として再同定された。一方、免疫細胞において、PVRは抗原提示細胞に発現し、活性化T細胞やNK細胞が発現するTIGIT がその受容体となり、免疫反応を抑制するTIGIT-PVR免疫チェックポイントを形成していた。つまり、PVRは、細胞間接着、免疫チェックポイントの2つの機能を有するタンパク質であることが明らかとなった。本研究では、がん細胞で異常発現し、2つの細胞機能を併せ持つPVRの、細胞接着とがん免疫チェックポイントの関連、クロストークの解明を目指す。 TCGAのRNA-seqデータセットで、PVRのmRNA高発現が予後不良になることが予測された頭頚部がんの切除材料を対象に、PVRの免疫組織化学を行い、陽性強度・面積、発現態度を評価しスコア化した。その結果、PVRの染色態度に特徴的な違いを見出し、その違いに着目した解析の結果、病理組織学的因子との有意な関連が明らかとなった。また、Kaplan-Meier法による予後解析では、PVRの発現態度により顕著な予後不良を示すことが明らかとなった。頭頚部がん細胞株に対して、CRSPR-Cas9を用いてPVR発現欠損株を作製した。欠損株を用いた解析では、がん悪性化に関わる機能が欠損株で減じていることを確認した。PVR欠損株でのmRNA、タンパク質レベルの変化を明らかにするために、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を行った。その結果、PVRの欠損によりc-Mycの下流の遺伝子群が有意に変動していることが明らかとなった。また、PVR欠損株にPVRを導入し安定発現する株を樹立し、野性株・欠損株・回復株で解析したところ、c-Mycの発現、リン酸化状態がPVR依存的に変化することが初めて確認された。
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