研究実績の概要 |
申請者は,唾液原発粘表皮癌の1)CRTC1/3-MAML2融合遺伝子陰性例:①腫瘍発生機序に関与する遺伝子異常の検索, ②本腫瘍群に特化した病理悪性度分類および予後スコアの構築 2)融合遺伝子陽性例: ①腫瘍進展・高悪性度化に関与する遺伝子異常の検索 ②本腫瘍群の組織学的多様性の検討の上記4点の研究を進めている.申請者のグループらは,昨年度に引き続いて、1)-②,2)-②に焦点を当て研究を行い,以下の新しい知見を明らかにし、論文化に至った. 唾液腺原発粘表皮癌177例(融合遺伝子陽性例110例)の組織学的多様性を検討し、その病理学的所見およびを行い、CRTC1/3-MAML2融合遺伝子との関連性を明らかにした. 粘表皮癌の組織学的に亜型とされるOncoytic-・Wartin-like-・spindle variantはCRTC1/3-MAML2融合遺伝子陽性例にのみに認められ,Clear cell-, Sclerosing-, Mucinous-, Central variantは 融合遺伝子陽性と陰性共に認めることを明らかにした. また組織学的予後不良のうち,Marked nuclear atypia, Frequent mitoses, Extensive necrosisは粘表皮癌においては非常にまれな所見であり(3-5%),本研究の症例においてはovert keratinisationを認める症例はなかった.これらは,組織学的多様性を示す粘表皮癌の病理診断に寄与する知見である(Salivary mucoepidermoid carcinoma: histological variants, grading systems, CRTC1/3-MAML2 fusions, and clinicopathological features.Histopathology.2022; PMID: 34657306).また、第46回日本頭頸部癌学会(2022年6月17日~18日)で、”唾液腺原発粘表皮癌におけるCRTC1/3-MAML2キメラ遺伝子の意義 多施設研究による検討”についての学会発表を行った。
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