研究実績の概要 |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)発症の分子メカニズムは不明であるが、組織学的には、胚中心形成が促進され、B細胞の成熟に関与するActivation-induced cytidine deaminase (AID) の高発現が発症機序の一つと考えられている。我々は濾胞性リンパ腫の間質細胞である濾胞樹状細胞(FDC)が、核内エストロゲン受容体アルファ(ERα)を発現することを明らかにし、さらに抗エストロゲン薬使用によって胚中心形成が弱体化する傍証も示した。 上記のERαの局在とホルモン治療の効果といった知見を基に、本研究課題ではIgG4-RD微小環境のERα+ FDC発現を検討し、先行研究で着目されたAIDの発現との因果関係を見出す。 テーマA「IgG4RDのERα局在」& テーマB「コントロール群のERα局在」:唾液腺とリンパ節のIgG4-RDの胚中心における、ERαとAID免疫染色において、各々の陽性細胞数を非IgG4-RD(慢性唾液腺炎群)のコントロール群と比較した。 IgG4-RD群では慢性唾液腺炎群と比べて胚中心におけるERα陽性細胞が多く存在した。 AID陽性細胞数もIgG4-RD群で多かった。胚中心内のERα陽性細胞局在にFDCにみられた。胚中心あたりのER陽性細胞とAID陽性細胞はIgG4-RD群(rs = 0.76, p < 0.01)、慢性唾液腺炎群(rs = 0.69, p < 0.01)とも正の相関を示した。ERα-ISHでは、IgG4-RD唾液腺組織の胚中心において陽性細胞を多数認めた。 テーマC「IgG4とERαの発現量の因果関係」& テーマD「AIDとERαの発現量の因果関係」:ERαとAIDの免疫染色における陽性細胞数について相関関係を解析する。
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