研究課題
1)乳腺領域において、novel neuroendocrine marker である insulinoma-associated protein 1 (INSM1) の意義、有用性および展望を初めて示した [Virchows Archiv,2021.Pathology,2021.Int J Surg Pathol,in press.European Congress of Pathology,ECP(Virchows Arch), 2021-2022.International Academy of Pathology,IAP(Histopathology),2022 等]。INSM1 によってのみ、神経内分泌形質を証明しうる neuroendocrine neoplasm (NEN) ないし NE phenotype を示す腫瘍の検出の増加が見込まれ、これらの疾患エンティティに対する分子標的療法を含めた新規治療法の開発に従事していく。2)乳腺 NENs は、内分泌療法感受性や化学療法効果を伴って予後良好とみなされてきたが、非特殊型浸潤癌と比較し、侵攻性の臨床経過を辿る潜在性をこれまで示してきた [Histopathology,2013-2015.Virchows Arch,2015.Pathol Int,2016 & 2019.ECP(Virchows Arch),2014,2015,2018-2020.USCAP(Mod Pathol/Lab Invest),2012 等]。その一環として、癌性リンパ管症 [ECP(Virchows Arch),2021], 浸潤性微小乳頭癌特徴 [IAP(Histopathology),2022.ECP(Virchows Arch),2022] を呈する NEN 症例を初めて報告した。3)他領域においても、mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)を含めた NENs の臨床像、病理学的特徴、診断治療、悪性度・予後に関する解析を行い、複数のエビデンスを世界に発信した [In Vivo,2021.Endoscopy International Open,2021.Cancer Reports,2022.Journal of the Japan Pancreas Society,2021.IAP(Histopathology),2022.ECP(Virchows Arch),2022 等]。4)HER2 陽性乳癌と線維腺腫との関連性を分析した(Oxf Med Case Reports,2022)。5)異時性両側多発乳腺腫瘍を発症した Carney 複合のケースを分子病理学的に検討した(Oxf Med Case Reports,2022)。
1: 当初の計画以上に進展している
乳腺領域において、novel/next-generation neuroendocrine marker である insulinoma-associated protein 1 (INSM1) の意義、有用性および展望を初めて示し、幸運にも3本の国際誌に掲載ないし掲載受理された (Virchows Arch, 2021. Pathology, 2021. Int J Surg Pathol, in press)。さらに、国際学会 [European Congress of Pathology (Virchows Arch), International Academy of Pathology (Histopathology)] をはじめ、複数の所属学会(日本病理学会総会,日本乳癌学会学術総会,日本臨床内分泌病理学会学術総会,日本臨床細胞学会総会,日本組織細胞化学会総会・学術集会,日本超音波医学会,国立病院総合医学会など)で研究成果を報告した。その結果、第62回日本組織細胞化学会学術集会において優秀演題に選出され、Acta Histochem Cytochem 誌への投稿依頼を受けた (現在、執筆中)。
初年度は、新規の神経内分泌マーカーである INSM1 に関する分析を中心に行い、幸いにも複数の国際的な研究成果を上げることができた。今後の展望として、その発展研究に従事していくとともに、1. 乳腺領域において我々が初めて報告した "NE cell hyperplasia" [J Clin Pathol, 2012.USCAP (Mod Pathol/Lab Invest), 2012. ECP (Virchows Arch), 2013 & 2019 等] と NENs のクローン的関連性を mitochondrial DNA sequence,copy number variation (CNV)/loss of heterozygosity(LOH)解析から検討する、2. NENs の増殖・浸潤・転移に関与する遺伝子背景を分子病理学的に解明する、3. 分子標的治療や、予後予測・治療効果予測に重要な遺伝子を cDNA/miRNA マイクロアレイ解析から抽出する、4. 新しい神経内分泌腫瘍マーカーの診断的意義を検証する、5. NENs の新分類を提唱することを目的としてプロジェクトを遂行する。分子病理学的分析に関し、異なる複数の解析方法でアプローチすることにより研究目的が達成できるよう研究計画の立案に配慮を行った。もし、研究が当初の予定通りに進まない場合は、研究代表者の留学先であった Department of Medical Sciences, University of Turin, Italy の Prof. Bussolati,Prof. Sapino に研究方法や実験技術に関する助言、材料の提供を受ける方向性とする。本研究から得られたデータないし新知見に基づき、令和6年度以降に向け、さらなる発展研究の計画・立案を行う。
【理由】初年度は、新規神経内分泌マーカーである INSM1 に関する分析を中心に行い、幸いにも複数の論文が掲載/受理され [Virchows Arch, 2021.Pathology, 2021.Int J Surg Pathol, in press.Acta Histochem Cytochem (依頼原稿執筆中).Diagnostics (Review 原稿執筆中)]、海外・国内の学会 [ECP (Virchows Arch),IAP (Histopathology),日本組織細胞化学会 (優秀演題として選出),日本病理学会,日本乳癌学会,日本臨床内分泌病理学会,日本臨床細胞学会,日本超音波医学会,国立病院総合医学会など] で報告を行うことができた。INSM1 の抗体は別の研究費より以前に計上された背景もあり、初年度の本研究費使用額は最小限に抑えられた。【使用計画】分子病理学的・免疫組織化学的手法を用いて、引き続き、NENs に関する 1.発生機構の解明、2.遺伝子背景の解析、3.治療・予後因子の分析、4.新規腫瘍マーカー の臓器横断的な研究を行う。具体的な方法として、1、2に対し CNV/LOH,mitochondrial DNA sequence、3に対し cDNA/miRNA microarray、4に対し ELISA,免疫組織化学を用い、研究費は主としてこれらの解析における消耗品費にあてられる。平行して英文論文の作成・投稿、国際・国内学会での発表も積極的に行うため、研究費の一部は成果投稿料や旅費にあてられる。一方、顕微鏡や関連機器の老朽化も進んでいるため、状況に応じて物品費として計上することも考慮する。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (25件) (うち国際共著 1件、 査読あり 25件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (53件) (うち国際学会 22件、 招待講演 8件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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