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2021 年度 実施状況報告書

MYC高発現乳癌における若年性乳癌: 転写因子E2F5の関与機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06915
研究機関日本大学

研究代表者

増田 しのぶ  日本大学, 医学部, 教授 (20276794)

研究分担者 坂東 裕子  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400680)
清水 千佳子  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 乳腺・腫瘍内科 診療科長 (10399462)
渡邊 知映  昭和大学, 保健医療学部, 教授 (20425432)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード若年性乳癌 / CMYC / ホルモン受容体 / HER2
研究実績の概要

若年性乳癌の癌化機序におけるMYC高発現の有無、MYC遺伝子増幅の頻度、細胞増殖/細胞周期経路の活性化、MYC-E2F family連関解明を目的として本研究を開始した。本年度は、まず、若年性乳癌におけるMYC発現レベル(mRNA,蛋白)、MYC増幅の頻度について検討した。
日本大学医学部附属板橋病院で診断治療をうけた若年性乳癌(39歳以下)44症例について、臨床病理学的因子を検索し、また、ホルマリン固定パラフィン包埋切片(FFPE)を用いてCMYC蛋白に対する免疫組織化学的検討ならびにCMYC DNA定量解析を行った。臨床病理学的因子としては、T因子、N因子、M因子、組織型、核グレード分類、組織学的グレード、進行期、ERおよびHER2発現状況、Ki67陽性率について、検討した。
CMYC蛋白は一次抗体 (clone Y69)を用いて検討し、Allred scoreにより評価した。Allred score ≧2を陽性とし、CMYC蛋白陽性症例群(34例)と陰性症例群(9例)間の比較検討により、各臨床病理学的因子に統計学的有意差は認められなかった。しかし、核グレードおよび組織学的グレードが高い症例では Allred scoreの平均値が高く(p<0.05, p<0.01)、またER陰性/HER2陰性群でAllred scoreの平均値が高いことが示された(p<0.01)。
CMYC DNA定量解析は、FFPEからレーザーマイクロダイセクション法により癌細胞部分のみからDNAを抽出し、内因性コントロールRNaseP DNAに対する相対定量値として解析した。CMYC蛋白陽性例では、CMYC遺伝子発現レベルも高いことが示された(p<0.05)。
CMYC蛋白陽性症例において、CMYC遺伝子増幅を確認するためのin situ hybridization法の技術も確立された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では「若年性乳癌患者の実態調査研究」への登録症例の検体を用いて検討する予定であったが、複数の他施設検体を用いた検討に要する時間の見積もりが不十分であった。よって、研究対象検体を研究代表者施設の症例に変更し、計画通り研究を進めた。共同研究者には引き続き本研究に参画してもらい、臨床的立場から助言をいただく予定である。
当初の計画では、若年性乳癌とともに非若年性乳癌の解析も終了している予定であったが、後半の計画が未完了である。しかし、予定していた研究協力者に加えて、新たに当教室の助手となった谷野智將先生が研究協力者として参画し、現在、精力的に研究を進めているところである。

今後の研究の推進方策

今後の計画を以下のように予定している。まず第一に、55歳以上の非若年性乳癌から、若年例乳癌症例とstage (T, N, M factor), subtype, gradeをマッチングさせた症例100例について、ホルマリン固定パラフィン包埋切片 (formalin fixed paraffin embedded (FFPE))を用いた、免疫組織化学的検索ならびにCMYC DNA定量解析を行う。また、CMYC遺伝子高発現群については、FISH法による遺伝子増幅の有無を確認する。
第二に、MYC高発現の若年性乳癌症例とマッチングさせた非若年性乳癌症例について、網羅的遺伝子発現解析と結果の検証を行う。FFPEからLaser Microdissection法 (PALM MicroBeam, Carl Zeiss Microlmaging)にて試料を採取し、Affimetrix WT pico kit+ Gene Chip; Human Gene 2.0 ST Arrayを用いて網羅的解析を行う。有意な発現亢進/低下を示した因子について、TaqMan probeを用いて real time RT-PCR法にて検証する。パスウェイ解析:MYC遺伝子産物は多機能であるため、乳癌における高発現と関連が高い経路を明らかにする(KEGGパスウェイ解析)。想定される経路は、細胞増殖/細胞周期、Notch/Wnt経路、代謝関連経路などである。

次年度使用額が生じた理由

当初令和3年度に予定していた若年性乳癌症例にマッチングさせた非若年性乳癌症例の解析が一部未完了であるため、次年度使用額が発生した。
しかし、若干の遅れはあるものの、計画自体は順調に進捗しているため、令和4年度は、当初の計画に基づいて、非若年性乳が症例のMYC発現レベル、MYC増幅の頻度ならびに、若年性・非若年性乳癌症例の網羅的解析に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 若年性乳癌患者におけるMYC高発現に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      谷野智將
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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