研究課題/領域番号 |
21K06920
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
加藤 省一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30584669)
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研究分担者 |
奥野 友介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00725533)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | EBV陽性節性末梢性T細胞リンパ腫 / EBウイルス / Clonal haematopoiesis / EBウイルスゲノム / PD-L1 |
研究実績の概要 |
リンパ節に病変の主座があり、上気道浸潤のない、EBV陽性となる末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、すなわちEBV陽性節性末梢性T細胞リンパ腫(EBV+ nodal T- and NK-cell lymphoma [EBV+ nPTCL])は予後不良な成熟T/NKリンパ腫である。EBV+ nPTCLはWHO分類第5版において新規疾患単位として登録されたが、その分子病態は依然として不明のままである。我々はEBV+ nPTCLを対象に全エクソームシークエンス(WES)を中心とした網羅的解析を行い、分子病態の解明を目指した。 WESもしくは全ゲノムシークエンスによりEBV+ nPTCL22症例において、TET2変異が68%,DNMT3A変異が32%,RHOA G17V変異が9%の症例で陽性であった。TET2変異陽性例のうち4例で,骨髄もしくは脾臓を正常対応検体として解析を行った。上記4例中3例で、腫瘍、非腫瘍骨髄/脾臓組織の両者から、同じTET2/DNMT3A変異が、VAFが0.05を越える頻度で見つかった。このようにTET2/DNMT3A変異陽性例の多くではCH(clonal haematopoiesis)が背景にあることが強く示唆される結果であった。また21症例のEBV+ nPTCLのうち、TET2変異、さらにDNMT3A変異もある症例は特に予後不良であった。 EBVゲノムについてシークエンスを行ったところ、63%の症例でEBVゲノムの欠失が認められ、腫瘍進展に寄与している可能性が示唆された。また興味深いことに、22例中1例でPD-L1の構造異常認められ、同症例ではEBVゲノムに、ヒト第9染色体の一部がタンデムに組み込まれ、PD-L1の3‘-UTRの切断を伴っていた。実際この症例では免疫染色でPD-L1の発現が更新していた。
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